ESGやDXの最前線について、東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリストの福本勲氏が各企業にインタビューする本シリーズ。第14回となる今回は、東京都港区に本社を構えるサトーホールディングスの取り組みをご紹介します。
サプライチェーンの最適化を図る上で必要な、人やモノに関する情報を紐付けするタギング。同社は顧客のDXに加えて、サステナビリティをタギングによって実現する「Tagging for Sustainability(T4S)」を打ち出しています。社是である「あくなき創造」をもとに突き進む同社が掲げるサステナビリティの取り組みは、どのように発展していくのでしょうか。
今回は同社のサステナビリティ推進部 部長の高木信一氏と、T4Sビジネスラボ 所長の平田和也氏に、福本氏とKoto Online編集長でコアコンセプト・テクノロジー(CCT)取締役CTOの田口紀成氏と共にお話を伺いました。
1986年3月、東京大学教養学部教養学科国際関係論分科卒業。1986年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行後、為替など金融市場におけるディーリングをはじめ、海外含めて主に市場部門での業務に従事。2009年から日本電産(現ニデック)に出向し、ロンドンを拠点に欧州および中東の投資家向けにIR活動を展開。その間、Institutional Investor誌によるアンケート調査において、投資家が選ぶ日本企業電子部品業界のBest IR Professionalに2年連続選出。2015年からのアパレル企業出向を経て、2016年サトーホールディングス入社。IR責任者として活動を主導し、2021年に日本IR協議会「IR優良企業特別賞」を受賞。並行してサステナビリティ推進の立ち上げを先導し、現在はサステナビリティ推進部長として、グループの環境課題やサステナブル調達体制強化に取り組む。海外勤務歴15年。
1999年3月、信州大学経済学部経済学科卒業。1999年サトー入社。15年間主に流通業向けの営業/営業企画に従事した後、ソリューションビジネスの新規事業企画に携わり、2020年より現組織の前身となる組織に所属、新規事業開発を担当。2022年10月に現組織の立ち上げに携わり、国内外スタートアップ等との共創を通じて、新たなビジネスモデル「Tagging for Sustainability」の企画・開発を担う。
アルファコンパス代表
1990年3月、早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長を務める。また、企業のデジタル化(DX)の支援と推進を行う株式会社コアコンセプト・テクノロジーのアドバイザーも務めている。主な著書に「デジタル・プラットフォーム解体新書」「デジタルファースト・ソサエティ」(いずれも共著)がある。主なWebコラム連載に、ビジネス+ITの「第4次産業革命のビジネス実務論」がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。
2002年、明治大学大学院 理工学研究科修了後、株式会社インクス入社。2009年にコアコンセプト・テクノロジーの設立メンバーとして参画し、3D CAD/CAM/CAEシステム開発、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru」の企画・開発などDXに関する幅広い開発業務を牽引。2015年に取締役CTOに就任後は、ものづくり系ITエンジニアとして先端システムの企画/開発に従事しながら、データでマーケティング&営業活動する組織/環境構築を推進。
目次
複雑化する社会課題に対応するための「Tagging for Sustainability」
福本氏(以下、敬称略) 御社はタギングによる持続可能な社会の実現を目指して「Tagging for Sustainability」(T4S)という概念を打ち出しています。「T4Sビジネスラボ」所長の平田さんにまず、T4Sやラボの役割について、自己紹介も兼ねて伺います。
平田氏(以下、敬称略) T4Sビジネスラボというチームが2022年10月に新設され、責任者を務めております。タギング(tagging)とは当社のコア技術であり、バーコードやRFIDなどの自動認識技術を使い、モノや人と情報を紐付けし、その情報をシステムに繋ぎ、課題解決に役立てることです。
私は営業担当として流通業などのお客様を担当するなかで、顧客課題を解決する製品・ソリューションを自ら企画・開発したいという思いを持つようになりました。サトーホールディングス(以下、サトー)はこういうことをとても奨励してくれる企業文化がありまして、現場にいながら新しい製品やソリューションの開発に取り組み、お客様に提案しておりました。この経験を通じてサトーのコアの事業や強みを生かしていくことが新しい事業の持続性につながると感じるようになり、今に至っております。
T4Sは、サトーがこれからさらに100年続いていくために、成長していく大きなエンジンになるべき取り組みだと思っています。ただ、日々の活動の積み重ねだけで我々が目指すことに到達できるかというと、なかなかそうはいきません。これから10年、20年後を見据え、社会がどう変化して、その時に我々が何によって貢献ができるかということを考えながら、それを具現化していくことが我々のチームのミッションです。「T4S型ビジネス」として、実際に企画、開発からお客様と共にPoCも現場で行うなど、事業化をするための努力をしています。
福本 T4S型ビジネスについて、もう少し詳しくお話いただけますか。
平田 はい。我々がずっとやってきているのは、人とモノと情報を紐付けることであらゆるものを情報化して、社会の動きを最適化することです。下図の左下にあるハンドラベラーは、創業者の佐藤陽がお客様のために開発しました。
1960年代のことです。当時は値段の情報を手書きして、のりを付けてペタペタ貼っていたそうですが、非常に手間のかかる作業でした。ハンドラベラーによって自動で値段、つまり情報をものに貼り付けられる製品がここで誕生しました。その後バーコードの登場や、我々の現在のビジネスモデルである「DCS & Labeling」の展開を1990年代中ごろから始め、現在に至ります。
T4S型ビジネスは、我々の強みであるタギング技術を磨いていくことで、解決できる課題の範囲を広げ、それによってお客様や社会のサステナビリティを実現していくことです。この背景には、社会課題が非常に複雑化していることがあります。現場の改善については我々も、小売や製造業、ヘルスケアなどの領域でずっとやり続けてきているのですが、単一の現場の課題を解決すれば、そのお客様がいま困っていることを解決できるかというと、そうではなくなってきているのです。
たとえば、サーキュラーエコノミーを実現するにはサプライチェーン全体を連携させ、最適化していく必要があります。そこに、いままで当社が培ってきたノウハウや製品を活用しつつ、上図の縦軸にあるように技術イノベーションを進めることで、お客様の課題解決ができるようになると考えています。テクノロジーもRFIDのほかにも、AIやカメラの画像認識技術、エナジーハーベスト、ブロックチェーン、エッジコンピューティングなどどんどん多様化してきています。
価値創造も環境への取り組みもタギングによるサステナビリティの実現に収れんされる
福本 高木さんのご担当についても、お話しいただけますか。
高木氏(以下、敬称略) 私はIRの責任者として2016年に入社しました。投資家との対話の中でESG(環境・社会・企業統治)の観点が増え、世の中の要請もふまえてESGの実態改善と情報開示拡充に取り組みました。当初はESGという表現をしていましたけれども、その後、より包括的な概念であるサステナビリティという言い方に変えています。
私はとくに脱炭素をはじめとする環境課題対応や、サステナブル調達体制の強化、および関連する開示などを担当しており、グループ全体の取りまとめ役として推進しているところです。当社に入社する前は銀行で為替ディーラーの業務などを23年ほど、その後に電子部品メーカーなどでIRを担当するようになり、現在に至ります。
福本 2016年というとコーポレートガバナンス・コード(✳︎)ができた次の年ですね。このタイミングで物の見方が変わってきた面があるのではと思うのですが、いかがですか。
高木 そうですね。「Comply or Explain(遵守か説明か)」という概念が持ち込まれて、初めのうちはとにかく「Comply(遵守)すればいい」という考え方が主流だったのが、「独自の取組みをしたうえできちんとExplain(説明)する原則があっても良い」との認識が広がるようになっています。サトーも一部の原則はExplainをしています。
ガバナンスについても、当社は1990年代のかなり早い時期から社外から取締役を招いておりまして、私が入社した2016年当時はすでに過半数が社外取締役でした。形式的なガバナンスがある程度整っていたなかで、実態も徐々に強化されてきたと感じています。当社では「サトーらしさ」という表現が多用されます。自分たちがこれまで築いてきた独自の企業文化や企業理念を非常に大事にする会社ですし、こうした独自性を強く全面に出しています。
福本 ESGからサステナビリティへと表現の仕方を変えた経緯には、どのような考えがあったのでしょうか。
高木 2018年に基本方針を策定するにあたって議論を重ねていくなかで、ESGなどの概念もサステナビリティに含まれると整理しました。サステナビリティは社会にとっても当社にとっても究極の帰結であり、ESGなどへの貢献はサステナビリティへの取り組みに含めて推進していくと考えております。
サステナビリティへの取り組みの基本方針は、5項目から成ります。(1)価値の創造、(2)本業の帰結、(3)再現性の重視、(4)現場との紐付け、(5)開示の充実――です。具体的には、社会や当社にとって価値につながるものであるべきで、あくまでも我々の本業であるタギングを通じて取り組んでいます。
再現性とは一過性にとどまらない、グループ間あるいは時空を超えて繰り返されるような、仕組みとして出来上がったものであるという趣旨です。さらに理念だけが先走って実態と乖離することなく、現場のオペレーションとちゃんと紐付いていて、適正に開示することでステークホルダーからの理解や評価を得るということです。基本方針の考え方に基づいて具体化した優先的取り組みが、下図に示しているマテリアリティ(重要課題)です。
福本 ステークホルダー全体に貢献していくということですね。
高木 結果的にはそうなりますね。上図のAで示された「お客さまへの提供価値」は、必ずしもサステナビリティとして特別に取り組んできたわけではなく、過去からずっとお客様の現場の生産性を向上するということをやってきています。振り返ると、お客様を含む社会のサステナビリティにつながり、生み出した価値が我々含めステークホルダーの価値につながりますね。ちなみに、我々が社会に提供する価値というのは、正確、省力、省資源、安心・安全、環境、感動と定義付けられています。
静脈産業においてタギング技術が解決すべき課題はまだまだある
福本 T4Sにおけるデジタルの役割については、どのように捉えていらっしゃいますか。サーキュラーエコノミーにおいては、デジタルプロダクトパスポート(DPP)など、この部品は何から何に変わってどうやって使われたのかという履歴情報がとても大事になっていくと思うのですが。
平田 おっしゃる通りで、サーキュラーエコノミーの実現やDPPを実現する上で課題になるのは、モノと情報の紐付けだと思います。ここをデジタル化していく手法と現場のオペレーションが重要で、我々が貢献できるポイントと考えています。新しい技術を使って、たとえば再生資源のグレードの指標になるデータを作り出すといったことをやる必要があると思いますし、実際にお客様からもご要望をいただいています。
福本 では、都市鉱山をどうやって作り、維持していくかということも大事になっていくのでしょうか。
平田 はい。さまざまなものが組み合わさって再生資源ができていくので、どういう経緯でできた資源なのかを証明していくことが必要になります。そのときに、再生資源のトレーサビリティに基づいたデジタル化は切っても切り離せません。
田口氏(以下、敬称略) 事業を表現するうえで、ラベルを貼り付けるラベリングではなくタギングを使っている点に、御社が見ている未来があるように感じます。単にラベルを貼るのではなくて、たとえばケースにタグがあればトラッキングできますよね。
平田 そうですね。お客様からも、「あらかじめコンテナの中にRFIDやセンサーを組み込んでみたい」といったご要望をいただくことがあります。コンテナの輸送状況のトラッキングや、コンテナの中の荷物の温度把握を行うことによって荷物の品質管理に活かしていきたいというアイデアです。これはあくまでコンテナを対象とした一例ですが、目指す方向性としてはそうなっていくでしょうし、そのときにはラベルがいらなくなってしまうとも言えるので、そういう目線でビジネスをやっていくべきだと考えています。
福本 そうなるとやはり、ラベルではなくタグですね。
平田 そうですね。タグがモノや人にIDを付与するという、当社でいうところの「情物一致(モノと情報を一致させる)」です。
高木 それもなるべく上流で、原材料から、さらには素材の時点からタグ付けされるソースタギングができれば、サプライチェーンを通してトレース(追跡)できます。究極的には目指すところはそこですね。
平田 たとえばリサイクル工場に持ち込まれるものは、自社内で垂直統合されていない限り、どういう素性でどのように分解して、何の資源が取れるのかなどが、さっぱりわからないのです。リサイクル工場に入る前の、もっと上流の工程でIDを付与すれば、流通の動脈側でも利活用できる可能性があります。
当社が協業している企業様の中に、総合リサイクル業のナカダイホールディングス社があります。ここでは、現場の方がかなり細かいリサイクルの為の作業を積み重ねることで初めて再生資源化が成り立っているのです。このこと自体は素晴らしいのですが、仕組み化なくしてそこからたくさんの資源を取り出したり、企業の利活用を促進することはできないと思っています。
我々がいま取り組んでいる自動化の技術や、ソースタギングによる選別作業も、もっと省力化する必要があります。資源が枯渇するなかで今後、対象となる再生すべき製品の量は間違いなく増えます。そこでいかにしてモノの情報を作り省力化・省人化を図っていくのかが、我々に求められているのだと思います。
福本 静脈産業においては、まだ取り組むべき課題が多いのですね。
平田 そうですね。おそらくこのままではスケーラビリティ(拡張性)を成し遂げる上でハードルが多く、大量の資源を再利用することにつながらないと思っています。自動化されている工程もありますが、さまざまなものから資源を取り出して再生させたり、それを企業が利活用するスキームを構築しようとすると、まだ課題がたくさんあるなという認識ですね。
静脈側の動きが可視化されれば、動脈側も変わっていく
福本 リユースをする場合に、たとえば中古車のように元の姿のままで使うのなら構いませんが、特定の部品だけ取り出して使うとなると難しいですね。解決されるのが待ち遠しいですね。
平田 これから新たに取り組もうとしているのは、サプライチェーンを面で捉えることです。これまでは、たとえば物流倉庫の入出庫のところだけを改善するためにRFIDを付けてバーコードで管理していたところを、単一過程ではなくサプライチェーン全体の可視化をしたりトレーサビリティを実現したりと、より上流の工程でタギングする形になっていきます。
お客様の製品はグローバルに流通するケースがほとんどですので、アメリカ大陸やアジア、ヨーロッパ、オセアニアの現地法人に我々の仲間と共に、より強化していくべきところです。
先ほどのナカダイホールディングス社の例を挙げますと、同社は従来、お客様からの要望を受けて駆け付けて、廃棄物を回収して持ち帰ります。そこからリサイクルの工程が始まるのですが、現在PoCを進めているAIによる画像認識技術によって先読みができるようになれば、どのぐらいの廃棄物の量が排出されるのかがわかるようになります。
そうすれば計画的に回収できますし、リサイクル工程の計画化にもつながります。さらに突き詰めて、廃棄物量の予測ができれば、再生材の生産予測を行うことができるかもしれません。企業が再生材を利活用していく上では、その再生材の品質情報を可視化することも欠かせません。究極的には、そこを目指したいです。
それから、製品を長く使うという長寿命化も非常に重要だと思っています。たとえばどのくらいの頻度で製品を使ったのか、どういう状態で保管されていたのかといった情報をもとに、製品のメンテナンスを先んじて行うことにもつながるからです。単に静脈側だけではなくて、動脈側でその製品がどのように利活用されているのかをRFIDやセンサー技術を使って情報化して、長く製品を使ってもらえるようにするといったことも期待しています。
高木 我々が提供している正確、省力、省資源などの価値はかなり普遍的なものですが、それを提供していく手段やその対象はどんどん広がっていきます。価値提供が個別の現場だったのがサプライチェーンを跨ぐようになり、タギングの技術も高度化しているのでビジネスパートナーの技術と組み合わせると取得できる情報が増え、さらに範囲が広がっていきます。タギングから外れずに、しかし適用する範囲も適用される技術も縦横に広がっているので、非常にポテンシャルが大きいビジネスだと考えています。
福本 サーキュラーエコノミーを進めていく際に、たとえばバージン材で作った方がCO2排出量が少なくて済むとか、再利用材の方がコストが上がるのではないかとかいった狭いものの見方をしている方がいる場合があります。もっと大きな視点で皆が変わっていくための取り組みなどはあるのでしょうか。
平田 おっしゃったことは、とくにネガティブなこととは捉えておらず、現実的な意見であると思います。いまを定点として見るとコストが高くつく場合もあるかもしれませんが、5年10年経ったときに果たしてどういう状態を迎えているのかを考える必要があります。
我々のチームはバックキャスティングで10年ぐらいの時間軸で物事を見て、その時に必要になることだから、我々はこれをやるのだというメッセージを伝えるようにしています。サトーはお客様の現在の現場課題を解決することに拘ってきた会社ですので、私自身も含めフォアキャスティングで現在地から未来を見てしまいがちなのです。しかし、これから社会がどう変化していくかという視点を見失わないためにも、バックキャスティングの視点が必要だと思っています。
人のサステナビリティを支えていくための、ファーストペンギンとして
福本 取り組みを進めていく上で、今後の展望をお聞かせください。
高木 少し前に、海外投資家との社長IR面談に同席した際、我々の市場のポテンシャルについて質疑しました。タギングを含む自動認識技術の市場は、どういう方向へ向かっているのかという質問に対し、我々の市場はまだまだ広がる余地があって高い水準の自動化につながっていくという話題になりました。
なぜなら現時点では、自動認識と言いながらも必ずしも全て自動ではなく、RFIDは少し離れたところで一括して読めるので半自動のような面はあるものの、バーコードを使う場合は手に持ったデバイスでスキャンをしなければなりません。しかし完全な自動化とは、たとえばAmazon Goのように店に入って欲しい商品をカバンに詰め込んで出ていけば、精算が済んでいる世界です。
さらに病院の中では、患者さんの確認の方法として看護師さんが現在していることは、三点認証といって患者さんと自分と、投薬する薬をバーコードリーダーで読み取って照合させているのです。この作業をいちいち読み取り機でやるのではなくて、自動的に確認できることがおそらく、完全な自動化の世界です。このことも、サステナビリティにつながる部分だと思っています。人に頼らずミスが絶対起きないような、完全自動化の世界。こうなっていくと、我々の人間としてのサステナビリティが高まっていくのかなと感じています。
平田 そうですね。動脈産業の例で言いますと、無駄なものを作り過ぎないようにするなどのいろいろな手段がまだまだあると思っています。我々が取り組んでいる事業のうち、スーパーマーケットのお惣菜売り場の夕方の値下げ業務では、AIを使って最適なタイミングで最適な値引き率を算出して値引きをするソリューションを展開しています。一般的には、経験と勘に頼り人が値下げ率を決めてラベルを貼っているのですが、AIに替えただけでも劇的なロス率削減が期待できます。
突き詰めると、そもそも作り過ぎなのではないかとも考えられます。ならば、作り過ぎないように我々のソリューションを提供していくということもできればと思っています。こういうことを考えている方がたくさんいらっしゃると思うので、ロス率の削減やサステナビリティをキーワードに非常に多岐に渡る連携ができると思います。
田口 T4Sラボの人員は十数名とのことでした。今後は拡大されていくのでしょうか。
平田 ラボで取り組むことはむしろ、最終的には全社で取り組むべきことだと考えています。このチームの設立の目的は、要するにファーストペンギンになりなさいということと考えています。ファーストペンギンがどんどん大きくなるというよりも、我々がチャレンジをしてこういうふうに実現をするのだと示し、それに向かって会社が一丸になっていくということが重要だと思います。
我々の取り組みが浸透して、全社で自然にできるようになることが理想なので、会社として回していける仕組みをどう作れるかがポイントです。高木のチームのような専門性の高い組織はもちろんですが、海外も含めた全部門と連携し、全社活動に発展させていきたいと考えています。
田口 貴重なお話をありがとうございました。今後のチャレンジを応援しています。
【関連リンク】
サトーホールディングス株式会社 https://www.sato.co.jp/
株式会社東芝 https://www.global.toshiba/jp/top.html
株式会社コアコンセプト・テクノロジー https://www.cct-inc.co.jp/
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