業務効率化の事例を紹介|先端テクノロジーを活用した取り組みとは?
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今日では多くの国内企業・自治体がさまざまなITシステムを駆使して業務効率化に取り組んでいます。そして、一部ではさまざまな先端テクノロジーを活用することでさらなる業務効率化を目指す取り組みが加速しています。

そこで、本コラムではRPA、AI、IoTといった先端テクノロジーを活用して業務効率化に取り組んでいる国内企業・自治体の事例を紹介します。

目次

  1. 「RPA」を活用した業務効率化の取り組み事例
  2. 「AI」を活用した業務効率化の取り組み事例
  3. 「IoT」を活用した業務効率化の取り組み事例
  4. 業務効率化を促進するアイデア
  5. 先端テクノロジー活用による業務効率化は段階的に進めるのがベター

「RPA」を活用した業務効率化の取り組み事例

RPA(Robotic Process Automation)は、人間のようにコンピュータを操作することができるソフトウェアロボットによってさまざまな業務を自動化することができる先端テクノロジーです。特にマニュアル化することが容易な定型業務はソフトウェアロボットのプログラムを実装しやすいのでRPA化に適しています。データの入力や帳票類の作成といった業務はその代表例と言えるでしょう。

一方で、RPAの活用によって効率化を期待できるのはこれらの業務だけではありません。

たとえばKDDIエボルバ社は2019年9月に、同社の運営する西日本物流センターと東日本物流センターで受託しているスマートフォンやタブレット、データカードのキッティング(※1)作業についてRPAによる自動化を実現したと発表しました。同社の調べによるとiOSのキッティング作業自動化は世界初であり、Androidは業界初だということです。なお、RPA導入後10カ月目には平均でキッティング作業全体の64%を自動化できるという予測も示しています。

ブラザー工業社は、2019年9月にRPAを活用した業務効率化に関する方針を発表しました。その内容は、2021年3月までにRPAを全社導入して年間総労働時間を70万時間削減することを目指すというものです。これは、同社における現在の年間総労働時間の11割にあたります。なお、その前段階として同社ではすでに2019年3月期に本社の人事、経理、特許の3部門でRPAを試験導入しており、2020年3月期にはプリンティング・アンド・ソリューション事業本部(※2)にも導入する方針を固めています。

※1:PCやスマートフォンの導入時に実施するセットアップ作業のこと
※2:プリンター、複合機、ラベルライター、ラベルプリンター、スキャナーなどの開発・販売を行っている事業部門

「AI」を活用した業務効率化の取り組み事例

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AI(Artificial Intelligence/人工知能)は、言語の認識や動作の制御といった人間が行う振る舞いの一部を人工的に再現する先端テクノロジーです。Apple社のAIアシスタント「Siri」やアイロボット社のお掃除ロボット「ルンバ」など、すでに身近な製品・サービスで利用されています。
そして、このところ業務効率化を目的にAIを活用する動きが広まりつつあります。

一例として、みずほ銀行は2019年4月から外国送金業務の効率化を目的としたAI搭載システムの運用を開始しています。これまで同行では担当者が外国送金依頼書にしたがって仕向先銀行(※3)を判定していました。外国送金依頼書は、外国への送金時に送金人が記載する振込用紙のようなものであり、SWIFTコード(※4)、銀行名、都市名、通貨、金額などが自由文で記載されています。そして、送金にあたってはそれをもとに担当者が複数の資料を参照しながら仕向先銀行を判定しなければならないため、大量の送金依頼を処理するのに時間を要していました。

そこで、同行は日本IBM社と共同で同社のAIプラットフォームである「IBM Watson」を活用して外国送金仕向先判定支援システムを開発。このITシステムは、自然言語処理を活用して外国送金依頼書に自由文で記載されている内容を正確に把握したうえで仕向先銀行を自動判定できるというものです。そのため、外国送金業務の大幅な効率化につながることが期待されています。

AIを活用した業務効率化に取り組んでいるのは、企業だけではありません。自治体もその取り組みを加速させています。
たとえば奈良県は2019年9月に、同年10月から大和郡山市や宇陀市など県内5市町と連携して「AIチャットボット」の運用を開始することを発表しました。この「AIチャットボット」は、チャットツールである「LINE(ライン)」上に寄せられた市民からの問い合わせに対してAIが24時間自動で回答するというものです。このAIチャットボットによって、市民からの問い合わせ対応を担当している職員の業務効率化が期待されています。

しかしながら、AIの活用には多額の開発費を要する場合が少なくないため、特に小規模自治体は費用を捻出することが難しいという実情もあります。そこで、総務省は2019年9月に複数市町村が共同でAIを導入することを促す方針を決めました。具体的には、2020年度に同省が数千万円を上限として費用を捻出したうえで全国7カ所程度においてモデル事業が行われます。また、「自治体AI活用ガイドブック(仮称)」を取りまとめて自治体におけるAI活用を促すことも発表しました。

※3:為替業務において、送金人から送金や振込の依頼を受けた金融機関のこと
※4:SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication/国際銀行間金融通信協会)が提供している国際送金システム上で相手方の銀行を特定するために用いられる金融機関識別コードのこと

「IoT」を活用した業務効率化の取り組み事例

(画像=Akmalism/stock.adobe.com)

IoT(Internet of Things/モノのインターネット)は、さまざまなモノをインターネットに接続することでビッグデータを含む多岐にわたる情報の収集・分析を実現する先端テクノロジーです。製造物の検品や設備・建物の点検といった分野ですでに積極的に活用され始めています。

たとえば、2019年5月に東京建物社はIoT機器の無線通信に関する実証実験を行ったことを発表しました。その内容は、オフィスビル室内の温度、湿度、照度、共用スペースの利用状況を遠隔監視するというものです。具体的には、「東京建物本社ビル」7階に温湿度センサー、照度センサー、人感センサーおよび中継器を設置し、各センサーが取得したデータを約230メートル離れた「東京建物八重洲ビル」屋上の基地局アンテナに伝送してクラウド上のサーバーに蓄積するという形で実施されました。

実証実験の結果、データの損失をともなわない完全なデータ伝送が行われたことがわかりました。そのため、同社では同社が管理しているビルについて段階的な通信環境の整備を行い、2019年内に日本橋、八重洲、京橋エリアにおける通信網の拡大を目指すという方針を示しています。これによって、ビル管理者が館内を巡回しながら点検していた設備機器の遠隔点検が可能となり、ビル管理業務の大幅な効率化が実現しそうです。

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業務効率化を促進するアイデア

業務を効率化すると、生産性と品質が向上し、時間とコストを節約できます。ムダを削減し、作業プロセスを最適化し、リソースを最大限に活用できるようになります。そのためのアイデアをいくつか紹介しましょう。

ムダな業務を省く

業務効率化を考える時に、その業務は省けないものかを最初に考える必要があります。無用な会議資料の作成や会議自体をなくすことにより、生産性向上、コスト削減などの効率化によるメリットが得られるからです。

例えば、繰り返し作業を自動化するツールの導入によって、人が手掛ける業務を省けます。具体的には、押印などの手作業をなくすワークフローソフト、データ分析ツールなどが挙げられます。

優先順位を決め逆算してスケジューリングする

優先順位を決め、タスクをスケジューリングすることにより、タスクの重要性と締め切りに基づいて計画を立て、時間を効果的に割り当てる方法です。これにより、タスク完了が確保され、ストレスが軽減されます。

目標設定、締め切りの設定、逆算、スケジュール作成、優先順位再評価、タスク管理ツールの活用が重要な要素です。逆算したスケジューリングは、計画的な業務遂行を支援し、効率を高めます。

繰り返す作業は自動化する

繰り返し発生するタスクやプロセスを自動化することで、業務効率を向上できます。同じタスクを定期的に繰り返す必要がなくなり、時間とコストの節約、エラーの削減、作業品質の向上が実現されます。

具体例として、電子メールの自動送信、ファイルの自動バックアップ、請求書の自動生成、在庫管理の自動化、顧客対応の自動化があります。この方法により、組織は一貫性のある作業を確保し、業務の柔軟性を保ち、生産性の向上が可能になります。

業務をマニュアル化しておく

マニュアル化により業務を効率できます。業務プロセスやタスクを文書として整備し、作業の標準化や新人教育、エラー削減、プロセスの可視化、部門連携、規制遵守、リスク管理を実現する方法です。業務手順や指南書を作成し、全体像を明確化し、組織内での一貫性を確保します。

具体的な手法には、文書化、ステップの明確化、図表の利用、トレーニングプログラムの設計などが含まれます。これにより、業務の効率性と透明性が向上し、組織全体で効果的な業務遂行が可能となります。

1日のフローチャートを作成する

1日のフローチャートを作成することで業務を効率化できます。業務プロセスをフローチャート化し、プロセスを視覚的に表現し、理解し、改善する手法です。業務プロセスの可視化、問題の特定、冗長なステップの削減、新入社員へのトレーニング、品質向上が可能となります。

具体的なステップやフローチャート記号を使用してプロセスを整理し、改善策を実行して効率性を高めます。前述の業務マニュアルと同時に作成するのがコツです。短期間でプロセスの理解と改善を促進し、組織の業務効率化に寄与します。

過去事例などデータベース化しておく

これまでの企業データを記録し、抽出できるデータベースを利用して業務を効率化できます。取引履歴や在庫情報、顧客の質問や回答、アンケート結果などの詳細情報も含まれます。これにより、過去の事例や対応策を把握し、効率的な対処が可能です。

また、顧客への一貫した対応を実現し、FAQなどを公開して手間を削減できます。データベースは情報の貴重な資源であり、組織の意思決定と効率化に寄与します。

業務を五月雨にして対応する

人や日による業務負荷の違いに対応するため、作業を分割して連鎖的に処理する方法を「五月雨対応」と呼びます。大量の業務が一度に発生する場合、段階的に処理し、複数の担当者に分散させることで、効率化できます。

各担当者は自分の範囲内の作業を完了し、次の担当者に引き継ぐことで、負荷が軽減し、業務プロセスの最適化とタイムリーな成果の達成が可能になります。

適した担当に変更する

担当者変更による業務効率化は、組織内で個々のスキルや専門知識に合わせて業務やプロジェクトを再配置する手法です。例えば、英語が得意な社員を海外部門に配置するなどです。

各担当者は得意な分野で働き、業務の実行力と効率性が向上します。適材適所の原則に基づき、人事部門や上司と協力してスキルマッピングや評価を行い、トレーニングと役割変更を計画実行します。結果として、モチベーション向上、エラー削減、チーム協力が促進され、組織の成功に寄与します。

自己スキルをアップさせてスピードアップ

従業員のスキル向上による処理スピード向上によって、業務を効率化できます。トレーニング、専門知識の構築、自己啓発、業務プロセスの最適化、ツールとテクノロジーの活用などが含まれます。

従業員が自主的にスキルアップし、より高度な技能を持つことで、業務の迅速な処理や品質向上が実現し、組織全体の業務効率が改善します。

アイデアの組み合わせでさらなる効率化

異なるアイデアや戦略を組み合わせることで、さらなる業務効率化が可能です。

不要な業務を省く、優先順位を決める、ツールを使って自動化するといったアイデアを見極めて、相性の良いもの同士を組み合わせ、段階的に導入することで、さらなる効率化が可能になってきます。異なるアイデアを組み合わせる際には、慎重な計画と調整が必要です。

先端テクノロジー活用による業務効率化は段階的に進めるのがベター

(画像= Imaging L/stock.adobe.com)

今回ご紹介したように、国内企業・自治体の間でもすでに先端テクノロジーを活用した業務効率化への取り組みがスタートしています。一方で、いずれの事例についても、仮に将来的に全社導入を見据えている場合であってもまずは適用する業務や規模を限定して試験的に先端テクノロジーを活用していることがわかります。先行している事例が少なく、まだその効果が未知数である以上、当然の選択とも言えるでしょう。

本コラムをお読みいただいている皆さんの所属企業においても実際にこれらの先端テクノロジーを活用して業務効率化を目指すという場合には、実証実験を繰り返しながら段階的に導入していくのがベターと言えるのではないでしょうか?その場合には、先端テクノロジーを活用したITシステムを段階的に開発していく必要があります。そのため、従来のウォーターフォール型(※5)でのITシステム開発では対応が難しく、アジャイル型(※6)でのITシステム開発が求められます。

コアコンセプト・テクノロジーはアジャイル型のITシステム開発経験が豊富です。また、製造業向けIoT/AIソリューション「Orizuru」の開発を含めて、RPA、AI、IoTといった先端テクノロジーを用いた様々なITシステムを開発してまいりました。

先端テクノロジーを用いた業務効率化をお考えの方は、ぜひお問い合わせください。

※5:ITシステム全体として「要件定義→設計→実装→テスト」というプロセスを経て開発を進める手法
※6:細分化した機能(スプリント)単位で「要件定義→設計→実装→テスト」というプロセスを経て開発を進める手法

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