製造業DXで悩む前に読んでおきたい 企業取材まとめ!スマートファクトリー編

Koto Onlineでは、DX関連で注目を集めているさまざまな製造業の代表やDX関連の責任者にインタビューを行い、その内容をまとめた記事を掲載しています。Koto Onlineでしか読めない価値のある記事なので、もっと多くの方に読んで頂けるように、インタビュー記事をテーマごとにまとめた「企業取材まとめ」をご用意しました。初回となる今回のテーマは、「スマートファクトリー編」です。

2011年にドイツで公表されたインダストリー4.0以降、日本国内でも「スマートファクトリー」が注目を集め、2017年に経済産業省は「コネクテッド・インダストリーズ構想」を打ち出しました。その後、人手不足や技能伝承による問題から工場におけるスマート技術に注目が集まり、コロナ禍におけるパンデミック対応で遠隔管理や自動化のニーズが急増しました。さらに近年は、脱炭素・カーボンニュートラル関連でエネルギー効率の最適化を実現するために、スマートファクトリーの重要性が再認識されています。

一方で、スマートファクトリーを実現するためには大きな変革が必要となり、社内の幅広い部署からの理解や協力を得る必要があります。他にも、さまざまなハードルを乗り越える必要があるため、今回紹介する6社のインタビュー記事が参考になるでしょう。

目次

  1. スマートファクトリー化で生産性16%向上 デジタルツインで遠隔管理の実現を目指すヤマハ:ヤマハ株式会社
  2. 外部に頼らず自社でDX推進 スマートファクトリー実現を目指す:カルビー株式会社
  3. スマートファクトリーを基盤としたトピー工業のDX戦略に迫る:トピー工業株式会社
  4. 「はじめから売る気」で取り組む武蔵精密のDX コストセンターではなく利益を生む内製化の秘訣とは:武蔵精密工業株式会社
  5. NEO新城工場の立ち上げと同時にスマートファクトリーを実現 オーエスジー流の大胆なDX推進:オーエスジー株式会社
  6. 旭化成がデジタルツインに描く未来予測:旭化成株式会社
  7. 目指す形も解決すべき課題も各社で異なる

スマートファクトリー化で生産性16%向上 デジタルツインで遠隔管理の実現を目指すヤマハ:ヤマハ株式会社

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ヤマハ

世界的な楽器・音響機器メーカーであるヤマハでは、2022年度からの中期経営計画において、生産・技術開発の高度化を目指すためのスマートファクトリー化やデジタルツイン化を進めてきました。ヤマハの宮田氏は、現場に出てコミュニケーションを取ることで現場の困りごとを吸い上げ、その困りごとを解消するようなシステム・仕組みを開発することで、現場に定着させていきました。その後、ビーコンを活用した実績管理システムの構築やデジタルツインの概念実証を行っています。また、多くの企業で課題になるデジタル人材の育成については、外部の人材を活用しつつも工場からのたたき上げ人材を活かす方向で取り組んでいます。

外部に頼らず自社でDX推進 スマートファクトリー実現を目指す:カルビー株式会社

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カルビー

お馴染みのスナック菓子やシリアル食品を製造・販売し、日本を代表する食品メーカーであるカルビー株式会社では、2022年7月に滋賀県の湖南工場でIoT技術を活用した次世代工場モデルを実装しました。2019年にDXに着手した当時はITベンダーがコンサルティングに入りましたが、困りごとの共有やイノベーションに必要な取り組みがうまく共有できず、成果に繋がりません。その後も、別のコンサルティング会社にも入ってもらいましたがうまくいかず、最終的には自社がオーナーシップを持ってプロジェクトを実現しています。その結果、コストを抑えつつ工程のアレンジにも柔軟に対応できる体制を構築しています。

スマートファクトリーを基盤としたトピー工業のDX戦略に迫る:トピー工業株式会社

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トピー工業

素材供給部門と自動車・産業機械部品事業が相互に関連する金属加工の総合メーカーであるトピー工業株式会社は、デジタルツイン・CPS(サイバーフィジカルシステム)の構築を目標としています。2015年にDX戦略を策定し、IoT導入やERPの刷新、スマートファクトリーの構築など、製造業のデジタル化に先進的に取り組んできました。特に電力使用の「見せる化」では、現場の省エネ意識を高め、データに基づく改善を推進しています。こうした成功体験をもとに、全社レベルでのエネルギー管理体制を構築し、業務全体の効率化を実現。また、ツールの内製化も積極的に進めており、現場での課題解決と経営戦略の融合を目指しています。

「はじめから売る気」で取り組む武蔵精密のDX コストセンターではなく利益を生む内製化の秘訣とは:武蔵精密工業株式会社

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「はじめから売る気」で取り組む武蔵精密のDXコストセンターではなく利益を生む内製化の秘訣とは

1938年に創業した武蔵精密工業株式会社は、時代に応じて主力製品を変えながら成長してきました。HONDA創業者との出会いをきっかけにオートバイ部品事業に参入し、現在は自動車部品を主軸に14カ国・36拠点で事業を展開しています。新規事業であるSmart Industryの領域では、AI外観検査装置やAGVなどを、最初から外販する前提で自社のニーズに即した高品質なものを開発しています。現在は工場の見える化を進め、海外出張時でも工場の状況を確認できる状況です。今後は、他社に先駆けてモデルとなるような「工場の完全無人化」を目指し、細かなIoT化やハードの自動化、監視などに一歩一歩取り組んでいます。

NEO新城工場の立ち上げと同時にスマートファクトリーを実現 オーエスジー流の大胆なDX推進:オーエスジー株式会社

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工場見学レポート

世界32か国に製造・販売拠点を展開する総合切削工具メーカーであるオーエスジー株式会社は、2020年5月に現場のノウハウとデジタル技術を融合し、さらなる効率化を実現したNEO新城工場を立ち上げました。工場を全自動にするのではなく、スキルを持った製造メンバーの無駄を省き、効率的な生産を目指す「現場力を支える・後押しするデジタル化」をキーワードに取り組んでいます。具体的には、徹底した加工の見える化、稼働率・生産スケジュール・生産状況などのデータ分析と共有を行うことで、多品種少量生産においてもリードタイム短縮を実現しました。現在は、デジタライゼーションに取り組み競争優位性を見出して新たな価値を目指すために、やるべきことに取り組んでいます。

旭化成がデジタルツインに描く未来予測:旭化成株式会社

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旭化成がデジタルツインに描く未来予測

1922年に創業し、主にマテリアル・住宅・ヘルスケアの領域で事業を展開している旭化成株式会社では、構造転換や成長事業を加速させるための重要なポイントの一つとして、デジタルを活用し工場の自動化に取り組んでいます。幅広い事業を展開する中で、事業にあった最適な自動化を実現するためには、さまざまな取り組みが必要です。例えば、人の動きをデジタルツインで可視化し、肉体的・精神的負荷を定量的に評価しました。また、構想段階でのシミュレーション活用による課題の前出しなどに取り組んでいます。まずは工場全体に自動化の取り組みを広げ、それが営業やマーケティングに広がり、仕事の全体が変わっていく状態を目指しています。

目指す形も解決すべき課題も各社で異なる

今回、6社のスマートファクトリー実現に向けたインタビュー・取材記事を紹介しました。各記事を読んでいただくと分かる通り、目指しているスマートファクトリーの形もその実現に向けて解決すべき課題も、課題解決の手段も各社で異なります。

日本の製造業が国際的な競争力を高めていくためには、デジタル技術の活用は必要不可欠です。スマートファクトリーの実現に向けて、まずは自社がおかれている状況や目指す姿を関係者と共に明確にし、課題を明らかにする必要があります。その上で、今回紹介した記事を改めて確認していただければ、自社の課題を解決する際に参考にできる情報を見つけられるでしょう。

また、KotoOnlineでは製造業におけるさまざまなDXの取り組みなどについて、責任者・推進者へインタビューした記事を掲載しています。今後もさまざまな記事を掲載予定ですので、ぜひ読んでみてください。