ERP19選を比較 中小・中堅や大企業向け、製造業特化型のシステムを紹介
(画像=MPStudio/stock.adobe.com)

ERPは、部署間を超えてさまざまな経営情報を一元管理できるシステムです。業務に関するあらゆるデータを可視化することで、業務効率化やムダの削減など迅速な経営戦略の策定に役立つことから従来は大企業中心に導入されていましたが、近年は導入しやすいクラウド型サービスも増加しており、企業の業種・規模を問わず多くの企業が導入するようになりました。

しかし、ERPと一言で表しても実に多種多様な製品・サービスが存在します。選定するにあたって「自社に必要な機能が分からない」「候補が多すぎて選べない」などの悩みが生じがちです。すでに多くの製品・サービスが登場しており、特徴が異なるため、情報収集や比較検討をするだけでも大きな労力がかかります。

このような悩みがある企業に向けて、本記事では19つのERPを徹底比較しました。導入範囲や提供形態、機能面、コストなどを比較できるので、製品選びの参考にしてください。

目次

  1. そもそもERPとは?機能と対象範囲
  2. システムにおけるERPの種類
  3. ERPを選ぶ・比較するポイント
  4. ERP製品の比較11選
  5. 製造業におすすめERP8選
  6. 特徴を比較しながら目的に合ったERPを選ぼう

そもそもERPとは?機能と対象範囲

ERPとは

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、簡単に説明すると「ヒト・モノ・カネ・情報(データ)」の経営資源を一元管理する手法や概念のことで、現在ではそれらを管理するソフトウェアやシステムである基幹業務システムそのものを意味することもあります。本稿では、後者のERPシステムについて説明します。

1990年代に登場したERPシステムは、当初は大企業・エンタープライズが利用するのが主流でした。しかし、クラウドサービスの台頭により中堅〜中小企業の導入も増加しています。またDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が広く認知された結果、経営データを一元管理できるERPの需要は年々高まっています。

ERPの主な導入目的は組織全体のあらゆるデータ・情報の収集し、部署間や拠点など点在した経営資源の一元管理にあります。それらのデータをもとに経営戦略の策定、業務効率化・最適化を図ることがERPの最大の目的となります。そのため、ERPは非常に多くの機能を有していますが、以下のような機能が基本的に搭載されています。

<ERPの主な機能(一元管理できる情報)>
・販売管理
・購買管理
・生産管理
・営業管理
・管理会計
・人事管理
・給与管理

幅広い業種に対応した統合型のERPもありますが、特殊な業態や商慣習などが残っている企業には、業界特化型のシステムが適しています。例えば、製造業で生産性アップを目指す場合は、過去のデータから正確な需要計算をするシステムや、受注・購買を踏まえて生産計画を策定する機能を持つERPが必要になるでしょう。

<製造業のERPに求められる主な機能>
・出荷実績などから需要を予測する機能
・製造指図や作業実績のデータ作成機能
・設備や人的リソースから生産計画を策定する機能
・生産計画をベースに購買管理をする機能
・原材料や部品などの在庫管理機能
・必要な部品数や組み合わせなどを管理する機能
・製造原価を管理する機能

また、製造業の場合は経営と生産現場、導入するERPと既存の生産管理システムなどを併用する場合は、連携機能やカスタマイズ機能なども必要になります。

システムにおけるERPの種類

ERPの種類は、自社で運用環境を整える「オンプレミス型」と、各種リソースが不要な「クラウド型」に大きく分けられます。

主な違い オンプレミス型 クラウド型
運用環境 自社で構築する システム提供者が構築する
初期費用 高くなりやすい 抑えやすい
主なランニングコスト サーバー代や電気代、管理者に支払う人件費など サービスの利用料金
連携性・カスタマイズ性 高い 低い
セキュリティ性 自社で強固な体制を構築可能 製品ごとに異なる
保守や管理 自社で行う システム提供者が行う

導入形態によって機能面やコスト面が変わるため、オンプレミス型とクラウド型の違いも押さえておきましょう。

オンプレミス型ERP

オンプレミス型は、サーバーやIT機器、ソフトウェアなどの運用リソースを自社で構築するタイプです。「自社運用型」とも呼ばれており、運用環境の構築に多くの初期費用がかかる一方で、連携性やカスタマイズ性が高い傾向にあります。

また、オンプレミス型では独自のセキュリティ要件を設定することで、強固なセキュリティ体制を実現できます。ただし、ネットワーク障害やサーバーダウンに自社で対応する必要があるため、安定して運用するには高度なIT人材を確保しなければなりません。

クラウド型ERP

クラウド型は、外部の事業者が提供するシステムを、インターネットを介して利用するタイプです。システムへのアクセス環境があれば利用できるため、自社で運用環境を構築する必要がありません。

ERPで収集した各種データについても、専用の端末やパソコン、タブレットなどからアクセスできます。そのため、初期費用は抑えやすい傾向にありますが、利用期間中にはサービスに応じた料金が都度かかります。

パッケージ型とフルスクラッチ型

またERPはシステムの開発手法によって分類されます。

・パッケージ型
多くの企業や業態に対応できる汎用的な機能がパッケージ化されたERPになります。必要な機能は別途料金を支払うことで追加することも可能なので、中小企業や初めてERPを導入する企業に向いています。

・フルスクラッチ型
必要な機能をオーダーメイドで構築するのがフルスクラッチ型です。要件定義からスタートし、開発やテストなど多くの工程があるため、導入コストは高くなり、導入期間も長くなります。

導入のしやすさやコスト面からクラウド型ERPパッケージは近年増加傾向にありますが、オンプレミス型とクラウド型を組み合わせた2層ERPなどもあり、企業規模や業種によってさまざまな導入形態が採用されています。

機能や目的によるERPの分類

ERPは導入形態だけではなく、機能や目的によって、以下の3つに分類されることもあります。

・完全統合型
完全統合型は、会計、財務、人事、生産、調達、販売などありあとあらゆる経営資源に関わるデータを一元管理するオールインワン型のERPとなります。

・コンポーネント型
コンポーネント型は、上記の完全統合型とは異なり、自社にとって必要な機能だけを切り分けて導入できるERPを指します。必要な機能を段階的に導入することができるので、ミニマルスタートが可能です。

例えば、従業員数100名程度の小規模事業者・中小企業を対象にしたERPには、会計などの事務作業のみをサポートする機能が導入できます

一方で、中堅企業や大企業向けのERPでは、販売や生産までを含めた基幹業務全体をサポートするシステムが中心です。

<ERPの業務や導入規模による分類>
・主に事務作業をサポートするシステム
・会計や人事、販売、生産までの基幹業務を幅広くサポートするシステム
・特有の業態や商慣習に対応した業界特化型のシステム
・多言語や外貨への対応など、海外拠点まで管理できるシステム
・カスタマイズを前提とした大企業向けのシステム など

上記の分類はあくまで一例であり、他にもさまざまなタイプのERPが存在します。

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ERPを選ぶ・比較するポイント

ERPを選ぶポイント

すでに多くの製品がある中で、目的に合ったERPはどのように選ぶと良いのでしょうか。一概には言えませんが、主に比較したいポイントは、以下の6つが挙げられます。

<ERPを選ぶ・比較するポイント>
1.導入目的(効率化したい業務)をカバーできるか
2.商慣習や企業文化に合った機能が備わっているか
3.カスタマイズや追加開発に対応できるか
4.十分なサポート体制が整っているか
5.予算に合ったコストで運用できるか
6.現場の従業員が操作しやすいか(主に製造業)

各ポイントに分けて、自社に合ったERPの選び方を解説します。

1.導入目的(効率化したい業務)をカバーできるか

ERPにはさまざまなタイプがあるため、「導入目的をカバーできるか」は優先的に確認したいポイントです。効率化したい業務を明確にしておくと、以下のように必要な機能を整理できます。

人事業務:給与計算や勤怠管理などを自動化する機能
会計業務:財務状況や債権管理などのデータを一元化する機能
生産業務:在庫状況や購買(仕入れ)を管理する機能

導入目的が定まっていない企業は、まずは「人事・会計・生産・販売」などの分野に分けて、抱えている課題の優先度を考えましょう。具体的な業務に紐づけると、ERPの必要な機能や特徴を判断しやすくなります。

2.商慣習や企業文化に合った機能が備わっているか

財務・会計のプロセスが一般的であっても、特有の商慣習や企業文化が残っている企業は、業態や生産現場に合わせたERPが必要です。

例えば、プロジェクト単位で業務をこなす業界では、案件ごとに関連コストを一元管理できるERPが便利です。一方で、原価が業績を大きく左右する製造業などでは、生産プロセス全体のコスト管理をするシステムが合っているかもしれません。

また、上場企業のように外部に向けて情報公開をする場合は、会計基準に準拠した財務会計の管理機能が必要になるでしょう。効率化したい業務や、精度を高めたい業務のフローを意識して、必要な機能を見極めてください。

3.カスタマイズや追加開発に対応できるか

ERPを運用する環境整備には手間がかかるため、基本的には自社の業界に特化したものが望ましいでしょう。しかし、商習慣が特殊な場合や、生産プロセスに変化が生じる場合は、ERPのカスタマイズや追加開発が必要となるケースもあります。

例えば、製造業で新製品を開発した場合は、従来の仕組みで対応しきれない可能性があります。このようなケースでは仕入れから納品までのプロセスを整理し、新製品に特化したシステムを確立しなければなりません。

その他、グループ内の状況が変わったり、仕入先からデータ連携を求められたりなど、カスタマイズや追加開発が必要になる場面はいくつか考えられます。パッケージ化されたERPで対応できる範囲は限られるので、どこまで拡張できるかは事前に確認しておきましょう。

4.十分なサポート体制が整っているか

ERPを選ぶ際には、システム提供者(ベンダー)のサポート体制も確認することが重要です。

自社で完全に運用できる場合を除き、多くのケースでは運用担当者へのレクチャーや、トラブル時の対応といったサポートが必要になります。特にシステムの不具合は深刻なリスクとなるため、対応が迅速なベンダーが望ましいでしょう。

また、ERPのカスタマイズや新規開発でも、ベンダーのサポートは欠かせません。サポート体制が不十分なものを選ぶと、必要な機能を洗い出せなかったり、既存システムとの連携ができなかったりなどの弊害が生じます。

レクチャーなどの「活用支援」と、カスタマイズを含めた「運用時のフォロー」に分けて、各製品のサポート体制を確認しておきましょう。

5.予算に合ったコストで運用できるか

機能やサポートが十分であっても、予算を超えると導入は難しくなります。また、サーバー代や利用料金などの運用コストもかかるため、ERPは予算に合ったものを選ぶことが重要です。

ERPの導入コスト ERPの運用コスト
・サーバーなどのインフラ構築費用
・ライセンスの使用料
・導入支援などのサポート費用
・カスタマイズの費用
・ミドルウェアの使用料 など
・トラブル対応などのサポート費用
・サーバーやクラウドの使用料
・追加開発の費用
・システム管理のための人件費 など

上記のコストを抑えるには、不要な機能・サポートを見極めることが必要です。例えば、中小企業が大企業用のERPを導入すると、活用できない機能が増えて複雑化するだけではなく、無駄なコストが生じてしまいます。

将来的に削減できるコストも見据えて、経営状況に合った予算を設定してください。

6.現場の従業員が操作しやすいか

製造業などの生産現場にERPを導入する場合は、システムや端末の操作性も確認してください。

いくら機能面で優れていても、現場の従業員が使いこなせないと大きな導入効果は見込めません。そのため、操作する従業員の知識やスキルを踏まえて、「不要な機能が多すぎないか」「カスタマイズで簡素化できるか」などを確認する必要があります。

それでも現場の知識・スキルが不足している場合は、導入支援などのサポートを検討しましょう。

ERP製品の比較11選

ERPの導入目的に分けて主な製品を紹介します。特徴を比較できるように、導入範囲や提供形態、機能面、コストなどを製品ごとにまとめました。基幹部門のさまざまなデータを一元管理できる「統合型ERP」から紹介します。

SAP S/4HANA Cloud

開発会社 SAP
導入範囲 会計、人事、サプライチェーンマネジメントなど
提供形態 クラウド型
主な機能 ・AIや機械学習、RPAなどの最新テクノロジーを搭載
・高速処理によるレスポンスタイムの削減
・設計や配送計画などの製造業向け機能
・最新テクノロジーを四半期ごとに自動アップデート
・ノーコードやローコードでのカスタマイズ
拡張性 API上での構築やパートナーとの統合が可能
料金プラン・価格 機能によって異なる(トライアルあり)
公式サイト SAP「SAP S/4HANA Cloud ERP
(※2023年12月現在)

ERPシステムでは世界トップシェアを誇るSAP社が提供する、必要な機能のみを選んで導入できるERPです。全業種に対応したプライベートクラウド型と、製造業など一部業種に特化したパブリッククラウド型があり、いずれのERPにも追加開発の機能が備わっています。

また、オンプレミス型として「SAP S/4HANA」も提供されているため、商慣習などに合わせた細かいカスタマイズも可能です。

Oracle NetSuite

開発会社 Oracle
導入範囲 財務会計、顧客、Eコマース、生産など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・リアルタイム業務分析機能を標準搭載
・財務会計管理システムとBIを組み合わせた意思決定
・受注から配送までのコストを徹底管理
・サプライチェーンや流通管理プランのルール定義
・24の言語、190の会計基準に対応
拡張性 事業拡大や分社化、新しいビジネスモデルなどに対応
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト ORACLE「クラウドERP、財務会計、CRM | NetSuite (ネットスイート)
(※2023年12月現在)

高いカスタマイズ性により、スタートアップのIPO(株式公開)やそれ以降の成長企業にも対応しているERPです。全体としてはEコマース領域に向いていますが、プロジェクト管理や生産管理の機能も備わっており、規模を問わずさまざまな業種から活用されています。

世界各国の言語や会計基準に対応しているので、グローバル化や海外進出にも対応できるでしょう。

Dynamics 365 Business Central

開発会社 Microsoft
導入範囲 販売、在庫、生産、購買、財務など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・OLAP機能を活用したビッグデータからの経営分析
・Outlookとの連携
・プロジェクト単位での原価や予算の管理
・130以上の国に対応した多言語、多通貨機能
・あらゆるデバイスからアクセス可能
拡張性 他アプリケーションと統合可能
料金プラン・価格 1ユーザーあたり月額1,000円~
公式サイト Microsoft 「Business Central | Microsoft Dynamics 365
(※2023年12月現在)

22万社の導入実績がある、2,000以上の拡張機能が備わったERPです。Outlookをはじめ、Microsoft社のさまざまなツール・アプリと統合できるため、幅広い業種に対応してくれます。最低利用人数が1人以上なので、スモールスタートから始めたい中小企業にも向いています。

SAP Business One

開発会社 SAP
導入範囲 財務、販売、顧客、購買、在庫など
提供形態 オンプレミス型、クラウド型
主な機能 ・主な会計プロセスを全自動化
・初回コンタクトから販売プロセスを追跡
・リアルタイムの在庫、購買データからレポートを作成
・Microsoft Excelの標準機能と併用
・SAP HANAプラットフォームとの統合
拡張性 自社の成長に合わせてカスタマイズ可能
料金プラン・価格 機能によって異なる(無料トライアルあり)
公式サイト SAP「SAP Business One | 中小企業向け ERP ソフトウェア
(※2023年12月現在)

一般的な基幹業務が網羅されている、中小企業向けのERPです。専用のモバイルアプリが用意されており、収集したデータの確認や発注、顧客管理などを迅速に行えます。

特有の商習慣などには対応していませんが、会社が成長したタイミングでSAP HANAプラットフォームに切り替えると、さらに細かいカスタマイズが可能になります。

QuickBooks

開発会社 Intuit
導入範囲 会計、人事、生産、販売など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・あらゆるデバイスでアクセス可能
・200以上の組み込みレポートを使った経営分析
・販売数に合わせた在庫管理ツール
・リアルタイムの在庫状況を反映した注文処理
・最大で50GBのストレージスペースを提供
拡張性 主に在庫を抱えるビジネスに合わせて進化するように設計
料金プラン・価格 月額1,830ドル~(※Enterpriseの場合)
公式サイト Intuit「Accounting Software for Small Business 2022 | QuickBooks Global
(※2023年12月現在)

米国のIntuit社が開発した、ビジネス向けの会計ソフトとして活用されているERPです。包括的な機能を備えた「QuickBooks Online」と、在庫を抱える業種に特化した「QuickBooks Enterprise」が提供されています。

シェアが世界トップクラスのERPの中では、導入コスト・運用コストを抑えやすい特徴があります。

SMILE V 2nd Edition

開発会社 大塚商会
導入範囲 会計、人事、販売、CTI、CRMなど
提供形態 オンプレミス型
主な機能 ・CTI(電話やFAX)との連携
・オリジナル帳票作成などのCRMサポート
・見積業務から決算業務まで、幅広い基幹業務を支援
・製造業や建設業などの業種別モジュールを搭載
・情報系システム「eValue」との連携により、社内全体の効率化を促進
拡張性 ロット管理や拡張分析などのオプションあり
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト 大塚商会「SMILE V 2nd Edition | 大塚商会のERPナビ
(※2023年12月現在)

一般的な基幹系システムに、スケジューラーなどの情報系システムが統合されているERPです。アプリケーション開発用の「SMILE V 2nd Edition 開発ツール」も提供されており、ERPとの組み合わせによって幅広い業務に対応できます。

また、インフラ構築が難しい企業に向けては、クラウド版の「SMILE V Air」が提供されています。

GLOVIA iZ

開発会社 富士通
導入範囲 会計、人事、就業、販売、生産など
提供形態 オンプレミス型、クラウド型
主な機能 ・業務を横断したデータ活用や経営分析
・独自技術による会計の高速処理
・「会計+他社情報」などの豊富な経営テンプレート
・手形管理などの業務オプションを追加可能
・メールやタスク管理などのコミュニケーション支援
拡張性 ユーザーごとのセルフカスタマイズ機能
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト 富士通「GLOVIA iZ : 富士通
(※2023年12月現在)

必要な機能のみを選んで利用できる、オンプレミス型とクラウド型を掛け合わせたERPです。基本的には豊富なテンプレートから選ぶ形となりますが、自社の成長段階に合わせてさまざまな機能を後から追加できます。

フロント業務や貿易などにも対応しているため、幅広い基幹業務を効率化したい企業に向いています。

Clovernet ERPクラウド

開発会社 NECネクサソリューションズ
導入範囲 販売、会計、勤怠など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・各業務間の仕訳連動機能による自動化
・事業やプロジェクトごとの収支管理
・インボイス制度への対応
・請求業務に加えて見積業務もデジタル化
・バージョンアップや法令対応の自動更新
拡張性 国内企業に特化した各種オプション
料金プラン・価格 月額7,500円~(無料トライアルあり)
公式サイト NECネクサソリューションズ「Clovernet ERP クラウド
(※2023年12月現在)

インボイス制度や社会保険など、国内企業に特化した会計機能・販売機能が充実しているERPです。月額7,500円から利用できるエコノミープランの他、財務会計や販売管理の機能を拡張したスタンダードプラン(月額1万5,000円~)も用意されています。

無料トライアル期間が最長2ヵ月なので、本格的な導入の前にさまざまな機能や操作感をじっくりと試せます。

GLOVIA SUMMIT クラウド

開発会社 富士通
導入範囲 財務、経理、購買、会計など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・パブリッククラウドの固定割当てによる処理高速化
・購買から資産管理まで、カネの流れを徹底管理
・グループ会社などの連結データの収集
・パフォーマンスや業務監視に関するレポート作成
・金融機関サービスや申告系サービスとの連携
拡張性 アドオン開発に対応
料金プラン・価格 月額14万円~
公式サイト 富士通「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA SUMMIT クラウド
(※2023年12月現在)

主に、グループ全体のカネの流れを徹底管理できるERPです。単に経営情報を収集するだけではなく、財務分析の結果をダッシュボードに表示したり、コンサルティングをしたりするサービスも提供されています。

データ・システムを保守する堅牢なセキュリティ体制や、監視・メンテナンスが徹底されているため、クラウド型特有のリスクも抑えられます。

multibook

開発会社 マルチブック
導入範囲 会計、固定資産、経費など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・海外拠点の経営状況を見える化
・世界各国の要件機能を標準装備
・12ヵ国の言語、世界中の通貨に対応
・連結決算業務にも対応
・月間1万件以上の伝票を処理
拡張性 生産管理ソフトと連携可能
料金プラン・価格 月額3万円~
公式サイト マルチブック「multibook(マルチブック) | 海外拠点管理に最適なクラウド型会計・ERPサービス
(※2023年12月現在)

海外進出やグローバル化に特化した、規模・業種を問わず世界的に利用されているERPです。多言語や多通貨、法律などの要件にも対応しているため、現地のスタッフも安心してオペレーションに集中できます。

生産管理機能は備わっていませんが、生産管理ソフトとの連携によって対応する範囲を拡げられます。

kintone

開発会社 サイボウズ
導入範囲 財務、人事、販売、生産、営業など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・ノーコードで自社に合った基幹業務システムを開発
・統一したフォーマットでのデータ管理
・日報製作などの用途別アプリを提供
・指示やアドバイスなどのコミュニケーション機能
・外部のサービスや基幹システムとの連携
拡張性 200種類以上のAPI連携やプラグイン
料金プラン・価格 1ユーザーあたり月額1,500円~
公式サイト サイボウズ「kintone(キントーン)- あなたの「その仕事に
(※2023年12月現在)

ここまで紹介したEPRとは違い、自社で必要なシステムを構築するタイプの製品です。感覚的にシステム開発ができる仕様になっており、ノーコードで業務効率化や経営情報の一元化を図れます。

また、他サービスとの連携機能が豊富なので、幅広い業界で活用できるでしょう。

製造業におすすめERP8選

一口に製造業特化型と言っても、搭載されている機能や拡張性、料金面は製品によって変わります。ここからは主な製造業特化型ERPをまとめたので、自社の商慣習や生産プロセスに合った製品、また製造業において実績がある製品を選ぶ必要があります。

Infor SyteLine(Infor CloudSuite Industrial)

開発会社 Infor
導入範囲 生産、見積、受注、出荷、財務、在庫など
提供形態 オンプレミス型、クラウド型
主な機能 ・受注組立生産や個別受注生産にも対応
・複数の生産方式を混合できる
・部品表や工程情報から最適なスケジュールを提案
・使用取引通貨数の制限なし
・日本語や中国語をはじめ、20言語以上に対応
拡張性 ノーコードのカスタマイズツールを完備
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト Infor「Infor Syteline | 産業用製造業向けクラウド ERP | インフォア
(※2023年12月現在)

複数の生産方式を組み合わせたハイブリッド生産に対応している、海外拠点をもつ企業向けのERPです。幅広い生産プロセスをカバーするだけではなく、販売計画をベースにした需要予測や、品質管理をサポートする機能も備わっています。特に製造業でも「航空宇宙・防衛」「自動車」「食品」「産業用品製造業」など各産業に特化したシステムが用意されており、実績も豊富です。

GRANDIT

開発会社 GRANDIT
導入範囲 生産、販売、調達、経理、経費など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・繰延生産や個別受注生産に対応
・需給データに基づいた生産計画の策定
・ロット番号に加えてシリアル番号も登録可能
・複数単位や複数企画にも対応
・現場実績のリアルタイム管理
拡張性 他ソリューションとの連携で、設計から会計までをカバー
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト GRANDIT「ERPコンソーシアム GRANDIT公式サイト|販売管理等の統合基幹システム
(※2023年12月現在)

GRANDIT社の完全統合型ERPをベースに、さまざまな生産形態に対応する機能を追加したERPです。帳簿配信や電子決算、電子レポートなどの生産性向上サービスとの連携機能もあり、導入するシステムによっては広範囲の業務を自動化またはカバーできます。

目的別にソリューションを提案してもらえるため、特殊な商慣習や生産プロセスにも対応してもらえる可能性があります。

STRAMMIC

開発会社 アミック
導入範囲 生産、工程、販売、物流など
提供形態 オンプレミス型、クラウド型
主な機能 ・組立加工とパッチプロセスの両方に対応
・仕入先や外注先などの物流拠点全体を統合管理
・豊富なユーザビリティ機能(ワークリスト作成など)
・リアルタイムデータから原価や収益を管理
・内部統制やシステム監査の機能を標準装備
拡張性 アドオン開発に対応
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト アミック「STRAMMICシリーズ 製品概要|生産管理・原価管理システムのアミック
(※2023年12月現在)

主に金属加工や電子機器などの組立加工型と、パッチプロセス型に対応しているERPです。パッチプロセス型は「食品・医薬品・化学品」の3つに分かれており、業種別に搭載されている機能が異なります。

必要なライセンスを組み合わせて利用できるため、システムの複雑化も防げます。

A’s Style

開発会社 KMKWORLD
導入範囲 生産、在庫、購買、販売、原価など
提供形態 オンプレミス型、クラウド型
主な機能 ・普段利用しているブラウザから操作可能
・仕様変更や特急オーダーに対応する優先計画の策定
・メールサーバーやIoT機器との連携
・ExcelやCSVのデータ入出力
・多言語や多通貨に対応
拡張性 要件に合わせたカスタム可能
料金プラン・価格 機能によって異なる
公式サイト KMKWORLD「オールインワンクラウド型ERPパッケージ A's Style アズスタイル
(※2023年12月現在)

業務プロセスに合わせて、各機能のセミオーダーに対応しているERPです。一般的な受注生産モデルがベースになっていますが、要望次第でさまざまな業態や生産プロセスに対応できます。

指示書のバーコードからタブレット画面を呼び出せるなど、細かいユーザビリティにもこだわりが見られます。

Ross ERP

開発会社 アプティアン・ジャパン
導入範囲 生産、購買、会計、販売など
提供形態 オンプレミス型
主な機能 ・賞味期限や有効期限などの製品管理
・製造原価を工程別計算から算出
・製品から原料への後方へのトレースが可能
・各業界の規制(GMPなど)に対応
・販売予算数量から予算原価を計算
拡張性 業務に合わせてカスタマイズ可能
料金プラン・価格 同時接続ユーザー数によって変わる
公式サイト アプティアン・ジャパン「Aptean Process Manufacturing ERP Ross Edition
(※2023年12月現在)

プロセス製造業に特化した機能が標準装備されているERPです。主に食品業界や化学業界が対象であり、業界ならではの複雑な課題や規制にも対応しています。

連続系プロセス、パッチ系プロセスの両方に対応しており、業務に合わせたカスタマイズもできるため、複雑な生産プロセスにも導入できる可能性があります。

GEN

開発会社 GEN
導入範囲 生産、販売、経理、財務など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・消費期限やロットなどのセンシティブな管理
・予算や進捗などをプロジェクト単位で管理
・アイテム別、ロケーション別の在庫管理
・複数の原価法に対応した在庫金額管理
・得意先へのメール送信まで代行
拡張性 ノーコードでの拡張機能
料金プラン・価格 1ユーザーあたり月額3,800円~
公式サイト GEN「【公式】クラウドERP GEN (ジェン)|格別のバックオフィスDXを
(※2023年12月現在)

業種ごとに7つのパッケージが用意されているERPです。製造業向けとしては、販売委託先やインボイス制度にも対応した「GEN PRODUCTS」と、工場生産に特化した「GEN CRAFTSMAN」が提供されています。

ノーコードで画面やマスターを編集できるため、帳票の仕様や管理体系が変化しても、工夫次第で対応できる可能性があります。

キャムマックス

開発会社 キャム
導入範囲 在庫、購買、財務、経費精算など
提供形態 クラウド型
主な機能 ・店舗や倉庫、ECなどの在庫データを一元管理
・倉庫管理システムから各種データを連携
・倉庫や店舗の他、商品カテゴリでも在庫を検索可能
・過去の在庫データも検索できる
・棚卸の在庫誤差を記録
拡張性 業務フローに合わせたAPIとの連携
料金プラン・価格 月額7万円~
公式サイト キャム「【公式】中小企業向けクラウドERP キャムマックス
(※2023年12月現在)

主に製造業・小売業・卸売業に特化しているERPです。製造業に役立つ機能としては、物流や在庫管理、店舗管理、購買管理などがあります。

運用・保守の担当者が不要なクラウド型であり、必要な機能を選択して導入できるため、予算が限られた中小企業でも導入しやすい特徴があります。

iDempiere

開発会社 OpenStandia
導入範囲 生産、在庫、購買、販売、財務など
提供形態 オンプレミス型
主な機能 ・仕入先、顧客、従業員の登録や管理が可能
・商品の見積や発注、仕入の管理
・原材料を含む製品の登録
・製品受入による在庫増加、出荷による在庫減少の管理
・CSVなどのさまざまなファイル形式に対応
拡張性 不定期で新規機能を追加、アドオン開発が可能
料金プラン・価格 オープンソースのため無料
公式サイト OpenStandia 「iDempiere とは?動作確認や機能、特徴などを解説| OSSサポートのOpenStandia™【NRI】
(※2023年12月現在)

受注から出荷までのサプライチェーンや、一般的な基幹業務をカバーしているオープンソースのERPです。ライセンス費用がかからないERPとしては高機能であり、Windowsの他、LinuxやDebianでも動作します。

時期によって搭載されている機能が変わるため、導入前には最新バージョンの仕様を確認しましょう。

特徴を比較しながら目的に合ったERPを選ぼう

ERPには多くの製品があるため、まずは導入目的から提供形態や機能、拡張性などを絞ることが重要です。また、自社の商慣習や生産プロセスを踏まえて、「業界特化型を選ぶべきか」についても考えておく必要があります。

その上で各製品の特徴を比較すると、導入環境や経営課題に合ったものを選びやすくなります。カスタマイズ機能の有無や、他システムとの連携性なども確認しながら、費用対効果が高くなるERPを選びましょう。

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