エンジニア交流イベント実施:「Webアプリエンジニアに贈る AWS入門体験」パネルディスカッション
■Contents
9月27日にCCTカフェスペースにてAWSに関するパネルディスカッションが開催されました。
パネルディスカッション概要
日時 | 2019年9月27日(金)19:00〜21:00 |
場所 | ㈱コアコンセプト・テクノロジー カフェスペース |
内容 | Webアプリエンジニアに贈る AWS入門体験 |
その他 | お寿司と軽食を交えてのパネルディスカッション、交流会となります。 お気軽にご参加ください。 |
まだ暑さの残る9月末でしたが、AWSに興味を持つエンジニアの方々にお集まりいただき、
登壇者達が参加者からの質問に答える形でディスカッションを繰り広げました。
登壇者紹介
ファシリテーターと
パネラーのみなさん
名前 | 役割 | 属性 | 自己紹介 |
石原 | ファシリテーター | マネジメント、アーキテクト | 東京大学工学部で原子炉材料研究のかたわら、Webシステム開発会社を起業。その後、製造業関連で先進的なアプリケーション開発に取り組むCCTにジョイン。AWS基盤構築、Spark/Keras等による機械学習プログラム開発、WebGLによる3Dレンダリング開発など担当。保有資格はOracle Master Gold 11g/12c、AWS Certified Solutions Architect – Associate。 AWS歴は1週間+飛んで4年間。 |
林 | パネラー | マネジメント | 情報系大学卒業後、携帯電話基地局の組込開発エンジニアを経て教育系ソフトのアプリエンジニアを経験し、技術力の高さと先進性に惹かれCCTに入社。CCTではECサイト開発プロジェクトでWebアプリ開発を経験後、現在はインフラ(AWS)管理を含めプロジェクト全体の管理・調整・支援などを行っている。AWSはCCT入社後に初めて触れ、現在はコスト管理に力を入れている。 |
ケイ | パネラー | フルスタックエンジニア | 情報系大学卒業後、SIer企業に就職。オンプレミスでWebシステムを開発。スペックの問題に悩まされていたが、クラウドが普及して4年前にオンプレミスからAWSの移行作業に携わる。最近はGCPのfirebaseを使用して飲食店の業務システム作成に携わる。CCTには技術者優遇の社風に惹かれて入社。 |
本廣 | パネラー | 開発未経験からのAWS技術者 | 名古屋大学大学院理学研究科卒業 博士(理学)。専門は素粒子(ハドロン)物理学。在学中にシステム開発に興味を持ち、技術力を持った社員が多そうで居心地のよさそうな(実際そうだった)CCTに新卒入社。入社後はインフラ担当となり、ベテランインフラエンジニアの下、システム開発未経験でAWSに触れる(AWS Certified Solutions Architect – Associate取得)。現在は製造業向けECサイトの裏側開発を担当。 |
AWSとの出会いは?
石原「本日はsli.do(※)でリアルタイムに質問を募集しながらAWSについてお話ししていきます。まずはここにいるメンバーがAWSに触れたきっかけを聞いてみましょう。林さん、どうですか?」
林「入社後開発に加わったプロジェクトで、いきなり本番サービスのHOTFIXをすることになり、リリース作業が必要ということでAWSを触ることになりました」
石原「HOTFIXってことは本番のサービスを停止せずに稼働したままで、ロードバランサーの下のインスタンスにリリースするってことですよね。それはドキドキしますね。ケイさんはどうですか?」
ケイ「7~8年前からさくらインターネットを利用していて、AWS接続オプションを利用したのが最初です。」
石原「その頃はAWSって言ってもEC2とS3くらいしかないし、EC2インスタンスを消したつもりでもうっかり課金されるなんてことにハマる人も多かったですよね。本廣さんの場合はどうですか?」
本廣「新卒で入ってシステム開発もほぼ初めて。ロードバランサーって何?みたいなところから関わり始めました。」
※sli.do:会議やイベントでインタラクティブに会場からの質問を匿名で集められるサービス。
AWSに詳しくなるには?
石原「AWSは最近では当たり前のように詳しい人も多いですが、みなさんはどうやって詳しくなりました?」
林「一番はやっぱり実際に触ることですね。会社で契約しているアカウントだと自由に触れないので個人アカウントを作っていろいろ触ったり、用語はいくらでも自分で調べられるので勉強しました。」
石原「AWSは利用者が多いので、いくらでもネット上に記事があるし、日本語の記事やドキュメントも多くてよいですよね。ケイさんはどうやって勉強しました?」
ケイ「仕事で使ってました。サーバ100台規模のシステムをオンプレからAWSに移行しました。」
石原「何も知らないところから始めた本廣さんは?」
本廣「まずは基本的なシステムの動くところから勉強しました。AWSに関係なくシステムの構成とか作りからです。現在は完全にバックエンドの開発をしているので、時々AWSのWebコンソールを覗くくらいですね。」
AWSの勉強方法は?
石原「みなさん、普段はどうやって勉強してますか?私はSlideShareにたくさん公開してあるAWS公式の資料を見ています。」
ケイ「契約するとAWSの人が問い合わせに答えてくれるので勉強になりますよ。」
石原「個人でもできるのでしょうか?」
ケイ「問い合わせはできるけれど会社のアカウントのほうが反応はいいですね。他サービスに比べてしっかりしてる感じがします。」
石原「日本法人がしっかりしてますよね。日本語のドキュメントも圧倒的に多いです」
AWSを使い始めたきっかけと現在使っているサービスは?
真剣に質問に答えるパネラーのみなさん
石原「私がAWSを使い始めたきっかけは、当時流行りのクラウドを使ってみたかったからです。ネットの記事でAWSを推されてて。7~8年前に触ってみた時はEC2とS3くらいしかなかったのに4年前にあらためて見てみたらいろいろなものが増えていて便利そうだったんです。ネット上にノウハウも溜まっていました。林さんはAWSの何を使っていますか?」
林「いろいろですが、メインはEC2ですね。」
石原「’EC2はいわゆるサーバで、S3はストレージ、RDSはリレーショナルデータベースですね。」
林「あと最近はLambdaを使っています。サーバレスでプログラムを実行できるサービスです。簡単にAPIを叩いたりできるし、コード実行中のみ料金が発生するので安いんです。ただ、罠があって無限ループするようなコードを書いてしまうとその分ずっと課金されちゃうんですよね。」
石原「何回かやらかしたことあります(笑)。」
林「今は開発環境サーバを夜間に自動で停止するためにLambdaを使っています。」
石原「EC2は起動時間で課金されるので、夜間は止めておくとその分節約になりますね。」
ケイ「起動しっぱなしだとお金がかかるっていうのがLambda利用のきっかけになることが多いですね。」
石原「ただ、自分の経験なんですが、工場から24時間ずっとデータを集めるというシステムでは、普通のEC2インスタンスでやったほうが安くなりました。Lambdaは起動回数分お金がかかるので、かえって高くつくケースもありますね。」
最近のホットなサービスは?
石原「続いてはsli.doからの質問です。みなさんの中でホットなサービスは何ですか?」
ケイ「Redshiftじゃないですかね?大量データを集計するのに使えるし。後はAmazonのIoTボタンも惹かれます。何かしらのクラウド内でファンクションを作っておくと、ボタン押して実行できるんです。」
石原「何に使うんですか?」
ケイ「カウントとかが面白そうです。イベントで可愛い子の数を数えたりとか、ハードがあるほうが盛り上がりますよね(笑)。」
先日起きた大規模障害の影響は?
石原「次の質問いきますね。先日(2019/8/23)AWSで大規模障害がありましたが、どんな感じでしたか?」
林「1系統は無事だったのですが、もうひとつは1時~11時半過ぎまでほぼサービスできませんでした。」
石原「マルチリージョンですか?」
林「マルチアベイラビリティゾーンです。」
石原「リージョンというのはアメリカ東部とか東京という地域です。東京リージョンの中でもデータセンターは複数の場所にあって、災害などがあっても大丈夫なようになっていて、それをマルチアベイラビリティゾーンといいます。今回はマルチアベイラビリティゾーンにしていてもサービスができなかったんですね。」
林「初めはアプリレイヤーの不具合かと思い調べていたのですが、ネットでAWSの障害だと情報が流れて来て。その頃にはRDSに接続できなくなっていました。画面は表示されるけどログインできない、という状態だったのでサービスをメンテナンスモードにして調査をしました。いろいろ策を講じたのですがどうしようもなく、夕方にはAWSが回復しました。」
石原「CCT(弊社)のホームページはマルチアベイラビリティゾーンにしていなかったので落ちてしまいました。Orizuruのサイトは平気だったのですが、これはラッキーでした。」
SLAの関係で障害の際の補償は?
石原「SLAというのはサービスレベルアグリーメントで、年間この程度は止まる可能性があります、と決められていて、それを超えたら補償する、というようなものですね。先日の障害で返金ってありました?」
林「アカウントがクライアントのものなのでこちらではわからないのですが、記事を見ていたらあの障害ではある程度補償されていたみたいです。」
ケイ「個人でやっていると気づいたら落ちていたりするけど、返金されたという話は聞いたことがないです。でも、特定の条件では返金されるという噂を聞いたことがあります。”」
AWSと他のサービス(Azure、GCP)の違いは?
熱心に話に聞き入る参加者のみなさん
石原「それでは次の質問行きましょう。AWSとMicrosoftのAzureやGoogleのGCPの違いってどうでしょう?」
ケイ「AWSが一番サービスが多いから普及しているし、顧客もクラウドといえばAWSでいいと言ってくれるので一番便利です。GCPはBigQueryが大量データの分析に便利だったり、FirebaseがWebサービスの立ち上げには便利だと思います。AzureはMicrosoftが好きな人、IBMはWatsonが使いたい人向きですかね。」
石原「Azureをいきなり触ったことがあるけど便利でした。C#のアプリケーションをサービス提供するのに手間なく使えました。でも、AWSが一番使われてるし、現状うまくいっているから動かす気にならないんですよね。」
林「Alibaba Cloudはどうですか?」
ケイ「とにかく安いですね。でもちょっと怖くないですか?」
石原「中国で使うならいいと思います。AWSの中国リージョンは中国法人じゃないと使えないんですよね。その点、Alibaba Cloudは日本法人でも中国リージョンを使えます。中国では45%のシェアだしグローバルでも2位だそうです。こんな感じでいろいろなクラウドありますけど、AWSから他サービスに切り替えたり、複数のサービスを並行利用する可能性はありますか?」
林「AWS依存してるのは問題ではあるのですが、導入コストを考えるとマルチサービスには踏み切るのは難しいですね。普段使わないのにお金がかかってしまいますし。」
石原「サービス停止で失われる額と他サービスの導入・運用コストのどっちをとるかってことでしょうね」
林「どちらかといえばめったにないケースなので、その選択をするのは難しいですね。」
環境構築にかかる時間は?
石原「環境構築はどのように行っていますか?」
本廣「CloudFormationを使っています。EC2、S3、RDS等必要な構成をコードの形で書いておくことができて、欲しい分だけ立ち上がるので手軽です。」
石原「同じものを何セットも作れるんですよね。」
本廣「間違いを減らせてよいです。」
石原「初めはスクリプトを書いていましたが、やっぱりCloudFormationのほうが楽ですか?」
本廣「コードというか定義なんですけど、それを書くのが大変です。」
林「今まで手で作ってたものをCloudFormation化してみたら、これまで2週間かかっていたものを1日で作れるようになりました。かなりよいです。コードというより値の定義で、実際はYAMLかJSONで書かれています。環境構築は楽になりますね。」
ケイ「1環境分の定義を書くのにどのくらいかかりますか?」
林「結構かかります。出来上がってからパラメータを変えたりしますが、一度苦労してしまえば後は楽になります。」
AWSの資格取得までの道筋は?
石原「資格についての質問が来ましたが、本廣さんはAWSの認定試験を受けましたよね。」
本廣「いきなりパートナー認定の資格試験を受けることになったんです。AWSの認定パートナーになるには有資格者が最低二人必要だったので。勉強範囲が広く、クラウド全般のことを聞かれるので大変でした。コスト管理系の質問も多かったです。実際にAWSを使って開発していてもコスト管理はしてないので、自分でアカウントを作って勉強したりドキュメントを読んでみたりしたのですが苦しかったですね。」
石原「AWSが公開しているBlack Beltなどのスライドを見るとけっこうわかりますよね。」
本廣「私は一発合格できました。アーキテクチャをしっかり勉強しておくとよりよいと思います。」
石原「問題も「データベースは自分でEC2インスタンスにインストールするか、RDSを使うか」みたいな基本的な設計を聞かれたりしましたね。」
今後サービスが増えると資格試験は難しくなる?
石原「去年試験の改定あって、最近のサービスについても勉強していないと受からない内容に変わったみたいです。これからより多くのサービスについて勉強しないといけなくなる可能性があるので、早めにとったほうがよさそうです。」
ケイ「資格は更新が必要なんですか?」
石原「3年で更新です。これまでは2年だったのですが3年になりました。試験を受けるにはよいタイミングかもしれませんね。おっと、そろそろ時間なので、この辺でディスカッションは終わりにしましょう。みなさん、ありがとうございました!」
パネラーの3人「ありがとうございました!」
最後は懇親会
たくさんの質問をいただき、大いに盛り上がったディスカッションの後は懇親会です。
今回もお馴染みのお寿司をいただきました。