エレファンテック、SustainaCircuits 技術による汎用多層基板の開発を発表

エレファンテック株式会社は12月17日、インクジェット印刷技術を用いた基板「SustainaCircuits™」の汎用多層基板の開発を発表した。同社によると、本技術により銅の使用量が70~80%削減される見込みである。従来は片面フレキシブル基板の量産にとどまっていたが、新技術により世界のPCB市場の78%をカバーできる見通しだという。

主な開発内容として、「リジッド基材対応」と「多層対応」が挙げられる。FR-4などの硬質基材向けに新規開発したプライマーと銅ナノ粒子インクを用いることで、高温耐性と強い密着性を実現。また、配線パターンの微細化(L/S=50/50μm)や高密度配線を可能とし、層数に依存しない多層基板の形成が可能になったという。

電流対応性能も強化され、最大100μmの銅膜厚に対応。これにより、プリンタブル・エレクトロニクスの課題であった電流量制限が克服され、パワーエレクトロニクス用途への応用も期待されている。

製法の観点では、ビア形成と配線印刷を同時に行うことで製造効率が向上。これにより、従来の製法に比べて工程数も削減され、グローバルな銅消費量の削減に貢献するとしている。

今後、同社は2025年前半に試作提供を開始し、量産体制の構築を進める予定である。量産化に際しては、従来の汎用多層基板製造工場に同社の印刷装置を導入することで、印刷工程以外は既存の製造設備を活用できるという。また、パートナー企業への装置・材料の提供も検討している。

エレファンテックは2014年に設立され、プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発と電子部品の製造・販売を手がけている。

【プレスリリース】エレファンテック、SustainaCircuits™ 技術による汎用多層基板の開発に成功
【関連記事】IEA、重要鉱物リサイクルの見通しと政策課題を公表。日本の評価は?
【関連記事】メルセデス・ベンツ、都市鉱山活用で二次原料回収を促進
【関連記事】【COP28関連】国連、重要原材料の持続可能な採掘と利用に向けた協調行動を要請
(※画像の出典:エレファンテック株式会社)

【注目コンテンツ】
DX・ESGの具体的な取り組みを紹介!専門家インタビュー
DX人材は社内にあり!リコーに学ぶ技術者リスキリングの重要性
サービタイゼーションによる付加価値の創造と競争力の強化