CTA

目次

  1. CTAとは?基本の定義とその役割について
  2. UI/UXデザインにおけるCTAの重要性
  3. 成功事例:効果的なCTAでUXを向上させた実例について
    1. 成功実例1:ECサイトの「カートに追加」「カートに入れる」ボタン
    2. 成功実例2:各社LPの「コンバージョンボタン」
    3. 成功実例3:メディアサイトの「続きを読む」ボタン
  4. 失敗事例:不適切なCTAが引き起こすリスクとは
    1. CTAの失敗例1:ラベリングやマイクロコピーが曖昧
    2. CTAの失敗例2:目立たないCTAデザイン
    3. CTAの失敗例3:多様で過剰なCTAの配置
    4. CTAの失敗例4:デバイスに最適化されていないCTA
  5. まとめ

WEBサービスやアプリサービスを利用する際、サービス画面の内容ももちろん重要ですが、最終的なユーザーアクションの背中を押すのは優れたCTA(Call to Action)です。
そのボタンを押した先に何が待ち受けているのかをユーザーに明確に提示することで、安心して次の行動に移ってもらう事はもちろんですが、CTAを上手に設計することで、さらにワクワク感やお得感などを提供することも可能です。

今回は、そんなCTAの重要性を再確認しながら、UIデザインにしっかりと組み込んで設計することで、結果的にどのように優れたUXを実現できるのかまで考えてみたいと思います。

CTAとは?基本の定義とその役割について

WEBサービスやアプリサービスを提供する際、ユーザーに具体的なアクションを促すための仕掛けとして欠かせないのが、CTA(Call to Action)です。

CTAとは、ユーザーに特定の行動を促すために設置される、ボタンやリンク、バナー広告などの要素を指します。具体的には、「今すぐ申し込む」、「無料で始める」、「詳しくはこちら」といったメッセージを掲載し、ユーザーの興味関心を引き付けながら、クリックやタップを誘導する役割を果たします。

CTAの目的は、ユーザーを最終的な目標であるコンバージョン(成約)へと導くことです。コンバージョンの具体例としては、ECサイトにおける商品の購入、資料請求フォームの送信、会員登録の完了などが挙げられます。WEBサービスやアプリケーションを通じて、ビジネス上の目的を達成するためには、ユーザーの心理や行動パターンを理解し、適切なCTAを設計・配置することが重要になります。

効果的なCTAを実現するためには、提供するWEBサービスやアプリサービスでは、具体的に何を実現出来るのかをユーザーに明確に伝え、アクションを起こすモチベーションを高める必要があります。
そのためには、サービスのコンセプトやターゲットとする層を可能な限り絞り込み、シンプルで分かりやすいメッセージを打ち出すことが求められます。

例えば、オンライン学習サービスであれば、「英語学習を今すぐスタートする」「TOEIC900点以上を目指すならこちら」など、ユーザーのニーズを的確に捉えたCTAを設置することで、サービス利用への関心を高めることができます。

また、ユーザーの行動をスムーズに誘導するためには、CTAの設置場所や順序にも配慮が必要です。WEBサイトのトップページやアプリの初回起動画面など、ユーザーの目に留まりやすい位置にメインとなるCTAを配置し、ユーザー体験を1本道にすることで、迷いなくコンバージョンへと導くことができます。

一方で、関連情報へのリンクや補足的なCTAを多用しすぎると、かえってユーザーの意思決定を阻害してしまう恐れもあります。

CTAは、ユーザーとサービスを結ぶ重要な接点であり、ビジネスの成果を大きく左右する要素です。サービスの目的や特性を踏まえながら、ユーザーの視点に立ったCTAを設計し、設置後も放置することなく、継続的な改善を重ねていくことが求められます。

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UI/UXデザインにおけるCTAの重要性

前項「CTAとは?基本の定義とその役割について」では、CTAの基本的な定義と役割について解説しました。
続いては、UI/UXの側面から見たときに、CTAがどのように重要な役割を果たすのかを、もう少し具体的に掘り下げてみたいと思います。

優れたUI/UXデザインを実現するために、CTAは欠かせない要素の一つです。なぜなら、CTAは単なるボタンやリンクではなく、ユーザーとサービスとのインタラクションを促進する重要な接点だからです。
適切に設計されたCTAは、ユーザーの目的達成をスムーズにし、サービスに対する満足度を高める効果があります。結果として、ユーザーのエンゲージメントが向上し、離脱率の低下にもつながります。

CTAを構成する3つの要素として、「ボタン」「マイクロコピー」「ラベリング」が挙げられます。
ボタンのデザインや配色は、ユーザーの注意を引き付け、クリックやタップを誘発する重要な役割を担います。

マイクロコピーは、ボタンの周囲に配置される短いテキストで、ユーザーの行動を後押しするメッセージを伝えます。

ラベリングは、ボタンに表示されるテキストそのものを指し、ユーザーに期待される行動を明確に示します。これらの要素が適切に組み合わされることで、説得力のあるCTAが実現します。

CTAの文言の重要性については広く認識されていますが、じつはカラーバランスもCTAの効果を左右する重要な要素です。色には人の感情や行動に影響を与える力があり、適切な色を選ぶことでCTAの説得力を高めることができます。
一般的に、赤やオレンジ、黄色などの暖色系は、行動を促進する効果があるとされています。一方、青や緑などの寒色系は、信頼感や安心感を与える効果があります。ただし、色の選択は、サービスの性質やターゲットとするユーザー層によっても異なるため、画一的な法則はありません。提供するサービスのターゲットと目的をしっかりと意識し、最適な組みあわせをチョイスする必要があります。

カラーバランスの重要性ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

関連記事:カラーバランスはUI/UXデザインにどのような影響を及ぼすのか


CTAのラベリングについては、「購入」よりも「購入する」など、名詞よりも動詞を使うべきという意見が多数あります。これは、動詞の方がユーザーの能動的な行動を喚起しやすいという考え方に基づいています。もちろんその意見は正しい物ですが、しかし、動詞が常に正解というわけではありません。

例えば、1つの画面をスクロールしている最中に、何度も「〜する」というボタンが表示されると、ユーザーは行動を強要されているような居心地の悪さを感じてしまうかもしれません。ユーザーに居心地の悪さを感じさせてしまう場合は、UX目線では失敗と言えるでしょう。

UI/UXデザインにおけるCTAの最適解は、提供するサービスの特性と、想定するユーザーペルソナとの関係性によって異なります。画一的なルールに頼るのではなく、「ユーザーがそのWEBサービスやアプリサービスに期待することは何か」をしっかりと見据え、そこから逆算してユーザーの視点に立ち、その心理や行動パターンを深く理解することが重要です。その上で、ユーザーにとって最善の体験を提供できるよう、CTAの設計に取り組む必要があります。A/Bテストなどを通じて、継続的な改善を重ねることも欠かせません。

CTAは、UI/UXデザインにおける重要なピースの一つです。サービスの目的や特性を踏まえつつ、ユーザーの視点に立ったCTAの設計を心がけることで、より優れたユーザー体験の実現につなげることができるでしょう。

ペルソナ設定の重要性ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

関連記事:システム・アプリ開発におけるペルソナ設定の重要性とは?


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成功事例:効果的なCTAでUXを向上させた実例について

ここでは、優れたCTAの設計によって、ユーザー体験の向上に成功した実例をいくつか紹介します。

成功実例1:ECサイトの「カートに追加」「カートに入れる」ボタン

多くのECサイトで採用されている「カートに追加」や「カートに入れる」というCTAボタンは、リアル店舗での買い物体験とオンラインショッピングの体験をシームレスに連携させた好例です。ユーザーは、実際の店舗で商品をカートに入れるのと同じ感覚で、オンラインでの商品選択を進めることができます。このCTAは、ユーザーの習慣的な行動と心理を巧みに活用し、スムーズな購買体験を実現しています。

また、カートのアイコンは視認性が高く、絵柄とカラーバランスによって、ユーザーに何を目的とするボタンなのかが一瞬で伝わる工夫がなされています。シンプルかつ直感的なデザインは、ユーザーの認知負荷を軽減し、円滑なナビゲーションを可能にします。

成功実例2:各社LPの「コンバージョンボタン」

ランディングページ(LP)は、ユーザーに特定のアクションを促すことを目的としたWebページです。LPに設置されるコンバージョンボタンは、ユーザーが次に取るべき行動を明確に示すことで、高い成果を上げています。

例えば、「○○を予約する」というラベリングのボタンは、クリックまたはタップした後に起こる出来事をユーザーに明示しています。これにより、ユーザーは安心感を持ってボタンを押すことができ、コンバージョン率の向上につながります。

また、「○○を50%OFFで申し込む」といったボタンは、ユーザーが得られるお得な体験を強調することで、ワクワク感を喚起します。ユーザーは、経済的メリットと同時に、ポジティブな感情も得ることができるのです。

成功実例3:メディアサイトの「続きを読む」ボタン

メディアサイトにおける「続きを読む」ボタンは、ユーザーの興味を引き付けつつ、追加のコンテンツへのアクセスを促す効果的なCTAです。記事の冒頭部分を読んで興味を持ったユーザーは、「続きを読む」ボタンをクリックすることで、シームレスに本文へと移行できます。

このCTAは、ユーザーの知的好奇心を刺激し、エンゲージメントを高める役割を果たします。同時に、ページビューの増加や滞在時間の延長にも寄与し、メディアサイトのパフォーマンス向上に貢献します。

これらの成功事例に共通しているのは、ユーザーにとって「この先に何が待っているのか」が明確に示されている点です。ユーザーは、CTAをクリックまたはタップすることで得られる体験や価値を事前に理解した上で、アクションを起こすことができます。この透明性と予測可能性が、ユーザーの信頼を獲得し、良質なユーザー体験を生み出しているのです。

優れたCTAは、ユーザーの心理や行動パターンを深く理解し、それらを巧みに活用することで設計されています。単なるボタンやリンクではなく、ユーザーとサービスをつなぐ重要な架け橋として機能するCTAは、UI/UXデザインにおいて欠かすことのできない要素なのです。

失敗事例:不適切なCTAが引き起こすリスクとは

優れたCTAがユーザー体験の向上に貢献する一方で、不適切なCTA設計は、ユーザーの興味を引くことができず、WEBサービスやアプリサービスからの離脱やコンバージョン率の低下というリスクを引き起こします。ここでは、CTAの設計における失敗事例をいくつか紹介し、その影響について考察します。

CTAの失敗例1:ラベリングやマイクロコピーが曖昧

CTAのラベリングやマイクロコピーの表現が曖昧であると、ユーザーは「このボタンをクリックしたら何が起こるか分からない」という不安を抱えることになります。最悪の場合、「このボタンをタップしたら、何か急に金銭の請求をされてしまうのではないか」といった懸念から、ユーザーはサービスを離脱してしまうかもしれません。

例えば「こちらをクリック」というラベリングでは、クリック後の展開が不明確です。「無料で資料をダウンロード」のように、具体的なアクションと得られる価値を明示することが重要です。

CTAの失敗例2:目立たないCTAデザイン

CTAは、ユーザーに次の行動を促す重要な役割を担っています。しかし、サービス全体のデザインの統一性を優先するあまり、CTAがコンテンツ全体の中で同化してしまい、ユーザーに気付いてもらえないことがあります。このような場合、CTAは役割を果たせず、失敗に終わります。

ユーザーにとっては、「次に何をしたら良いかわかりにくい」というフラストレーションが増大し、最悪の場合、WEBサービスやアプリサービスに対する悪印象を持たれてしまう可能性があります。CTAは、周囲のデザインとのバランスを保ちつつも、十分な視認性を確保する必要があります。

CTAの失敗例3:多様で過剰なCTAの配置

1つの画面内に「資料請求はこちら」「購入する」「ダウンロードする」などの異なる目的のCTAが混在していると、ユーザーは「このページでは何ができるのか」が曖昧になってしまいます。その結果、ユーザーの行動が分散し、本来意図していたコンバージョンの達成率が下がってしまう恐れがあります。

サービス提供者側は、そのページでユーザーに取ってもらいたい行動を絞り込み、シンプルに出来る限り一本道の導線をユーザーに提示する必要があります。選択肢が多すぎるとユーザーを混乱させ、意思決定を妨げてしまうのです。

CTAの失敗例4:デバイスに最適化されていないCTA

CTAの設計では、PC表示とモバイル表示の両面から最適化を図ることが重要です。特にモバイル環境では、小さすぎるボタンや指が届きにくい位置への配置など、ユーザビリティの低下につながる要因が潜んでいます。

また、文章量が多すぎる場合も、モバイルユーザーにとって使いにくい画面となってしまいます。デバイスの特性を考慮し、シンプルで操作しやすいCTAを設計することが求められます。

CTAの失敗は、UXの失敗に直結します。ユーザーにとって、WEBサービスやアプリサービス利用の目的を達成する重要な意思決定の場面にあるのがCTAです。そこでつまずいてしまうと、ユーザーは「悪いサービス」「自分にとって目的を達成できないサービス」という印象を持ってしまう可能性があります。

したがって、CTAの設計では、ユーザーの視点に立ち、明確で一貫性のあるコミュニケーションを心がける必要があります。ユーザーの期待を叶えるために、円滑な意思決定を支援することが、優れたCTAの条件なのです。

CTA

まとめ

CTAの重要性について、UI/UXデザインの観点を絡めながら解説してきました。

CTAは、ユーザーに特定の行動を促すために設置されるボタンやリンク、バナー広告などの要素であり、WEBサービスやアプリサービスにおけるユーザーとのインタラクションを促進する重要な接点です。適切に設計されたCTAは、ユーザーの目的達成をスムーズにし、WEBサービスやアプリサービスに対する満足度を高めてくれます。

優れたCTAを実現するには、UIデザインでの視点も重要です。ボタンのデザインや配色、マイクロコピー、ラベリングなどの要素を最適化し、ユーザーの心理や行動パターンを深く理解することが必要です。

しかしながら、CTA設計を失敗してしまった場合にはリスクが伴います。ユーザーの興味を引くことができず、場合によってはユーザーの不安感を呼び起こし、サービスからの離脱やコンバージョン率の低下というリスクを引き起こします。

曖昧なラベリングやマイクロコピー、目立たないデザイン、過剰な選択肢、モバイルデバイスへの対応不足などは、UXの失敗に直結する要因です。

したがって、UI/UXデザインにおいてCTAは極めて重要な要素であり、綿密な設計と継続的な改善が求められます。ユーザーの視点に立ち、明確で一貫性のあるコミュニケーションを通じて、円滑な意思決定を支援することが、優れたCTAの条件なのです。

WEBサービスやアプリサービスにおける優れたUXの実現は、UIデザインとCTAの効果的な連携によって導かれます。

UI/UXデザインを強く意識し、CTAの重要性を再認識し、戦略的な設計と運用に取り組むWEBサービス・アプリサービスのご依頼、ご相談がございましたら、是非GeNEEまでご連絡いただけたらと思います。お客様のニーズや将来的な方針等を具体的にヒアリングした上で最適なソリューションのご提案をさせていただきます。こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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