本記事はサステナブルメディア cokiの記事から引用しています。
「サーキュラーエコノミーの導入を検討しているが詳しいことは分からない。」
「サーキュラーエコノミーの具体的な導入事例や成功例を知りたい。」
この記事は、そんな悩みにお答えしていきます。
サーキュラーエコノミーとは、製品やサービスが生み出す価値を最大限に活用し、廃棄物の発生を最小限に抑えることを目指す経済モデルです。
このモデルは、持続可能な資源の利用と廃棄物の削減を重視し、資源の回収と再利用を奨励します。
そのため、この取り組みを怠ると企業は環境保護への貢献度が低いと見なされ、特に環境意識の高い顧客や投資家からの信頼を失う可能性があります。
そこで、この記事では以下の内容を解説していきます。
・サーキュラーエコノミーとは
・海外企業の事例
・日本企業の事例
サーキュラーエコノミーへの移行は、企業にとって単なる選択肢ではなく、必要不可欠な取り組みとなっています。
当記事で紹介する内容をご参考いただき、サーキュラーエコノミーの具体的な導入に繋げていただけますと幸いです。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、資源の効率的・循環的な利用を目指し、付加価値の最大化を図る経済システムです。
このシステムは、従来のリニアエコノミー(大量生産・大量消費・大量廃棄)に代わるものとして注目され、地球温暖化や資源不足などの環境問題に対応するための解決策として提案されています。
サーキュラーエコノミーは、新たなビジネスモデルとして期待されており、環境問題に対する企業の取り組みに対する投資、いわゆるESG投資の拡大を促進しています。
また、EUでは「New Circular Economy Action Plan」という法的な取り組みを進めており、持続可能な製品設計の義務付け、消費者が製品を修理する際の権利をより強く保護し、支援することを目的としています。
海外企業のサーキュラーエコノミー取り組み事例5選
サーキュラーエコノミーは、資源の再利用から廃棄物削減の取り組み、再生可能エネルギーの活用まで、持続可能な未来を目指す上で重要な役割を担っています。
ここでは、海外企業と日本企業のサーキュラーエコノミー導入事例を通して、ビジネスや社会におけるサステナビリティ活動の可能性を探ります。
それぞれの事例は、環境への影響を最小限に抑えつつ、経済成長を実現するためのユニークなアイディアや戦略を提供しています。
まずは、海外企業のサーキュラーエコノミー取り組み事例5選についてご紹介します。ぜひ、自社にサーキュラーエコノミーを導入する際の参考となれば幸いです。
ReSolved Technologies(オランダ)
ReSolved Technologiesは、プラスチック廃棄物をリサイクルする技術を提供するオランダのスタートアップ企業です。
同社はプラスチックを溶剤、機械、化学的にリサイクルする方法についての専門知識を持っており、この分野でのコンサルティングも行っています。
ReSolved Technologiesでは、独自の溶剤ベースの技術に基づいて、複雑な廃棄物の流れに含まれるエンジニアリングプラスチックに対処するリサイクル技術を開発しました。
この技術によって、電子機器や車両などに使われる複雑なプラスチック素材を効果的にリサイクルすることができ、不要な添加物を取り除くことに成功しています。
Batch.Works(オランダ)
Batch.Worksは、オランダに拠点を置く循環型製造のスタートアップ企業です。
同社ではリサイクル材料の使用、オンデマンドでのデジタル生産、再製造、効率的なサプライチェーンと製造を組み合わせて、無駄と過剰生産を削減し、ジャストインタイム(JIT)製造を実現しています。
その一例として、Morrama社とのコラボで開発された子供用ヘッドフォン「Kibu」についてご紹介します。この製品の主な推進力の背景に、電子廃棄物問題への取り組みがあります。
「Kibu」は植物由来の生分解性プラスチックである廃PLA (ポリ乳酸) を100%使用して作られた3Dプリントされたフィラメントで構成されており、この材料はオランダ国内で収集され、Batch.Worksの生産拠点の近くにある会社Reflowによってフィラメントに加工されています。
また、モジュール式の設計により、壊れた部品を簡単に交換できる一方で、ヘッドフォンを調整できるため、環境への配慮とともに、子供の成長に合わせて快適に使用することもできるとの狙いがあるようです。
CIRCULAR FOOD(イタリア)
CIRCULAR FOODはイタリアに拠点を置く食品関連企業です。蒸留や発酵プロセスで生じた副産物をアップサイクルして小麦粉に変換する特許技術を持っており、様々な食品の材料として再利用しています。
CIRCULAR FOODのアプローチは、廃棄されるはずの材料を資源として活用し、食品生産量の4割が食品ロスとなっているEU圏内において、循環型経済を推し進めるきっかけとなっています。
参考:EU、生産量の4割が食品ロス、一人あたり年173kg廃棄 世界では過去最多の2億5千万人が深刻な飢餓
Treetop Biopak(イギリス)
Treetop Biopakはイギリスに拠点を置く企業で、環境に優しい包装ソリューションを提供しています。
同社はコーンスターチなどの再生可能資源を使用し、化石燃料ベースのプラスチックの代わりになる堆肥化可能なバイオポリマーを生産しています。
製品ラインナップには、堆肥化可能な袋、ストレッチフィルム、筒状ネット、シュリンクフィルム、粘着テープなどがあります。
これらの包装材は耐久性が高く、穴が開きにくく、耐水性があり、印刷も可能です。
生鮮食品、ベーカリー製品、衣料品、電子機器など幅広い用途に適しており、従来のプラスチック包装の持続可能な代替品として注目されています。
Circular Fashion LA(アメリカ)
Circular Fashion LAは、アメリカに拠点を置く直販型の企業です。
衣服の修理から、染め直し、再デザインまでの過程で、廃棄物を極力出さないようにするサーキュラーファッションの実現を目指しています。
もう必要なくなったきれいな衣類や家庭用テキスタイルを回収する月額制のリサイクルサービスを導入しており、廃棄物を出さないリサイクル可能なパッケージや天然染料を使用することで、環境に優しいサービスを提供しています。
日本企業のサーキュラーエコノミー取り組み事例5選
続いて、日本企業のサーキュラーエコノミー取り組み事例5選についてご紹介します。
三菱ケミカルとENEOSの共同事業
三菱ケミカルとENEOSは、特に使用済みプラスチックを石油化学製品の原料として再利用するケミカルリサイクル事業に共同で取り組んでいます。
この事業では、三菱ケミカルの茨城事業所に設置される年間2万トンの処理能力を持つプラスチック油化設備を活用し、2023年度からの運営を目指しています。
このプロセスには、英国Mura Technology Limitedの超臨界水技術が用いられ、リサイクル生成油はENEOSおよび三菱ケミカルの既存設備で利用され、石油製品や化学品、プラスチックへの再製品化が行われます。
廃棄プラスチックの調達には、リファインバース株式会社との連携も予定されています。
日本相撲協会とネスレ日本
2023年9月より、日本相撲協会とネスレ日本はサステナビリティパートナーシップ契約を締結しました。
この取り組みの一環として、両国国技館で回収されたネスカフェの紙製パッケージをタオルハンカチにアップサイクルするプロジェクトが始まっています。
ネスレ日本は、サーキュラーエコノミーの一環として、使用済みの「ネスカフェドルチェグスト」カプセルの回収プログラムを展開しています。
このプログラムでは、使用済みのカプセルを専用の回収ボックスに集め、その後、カプセルを粉砕、洗浄、乾燥してフレーク状にし、リサイクルペレットとして再利用します。
また、ネスレ日本は、WWFジャパンの「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」にも参画しており、持続可能なサーキュラーエコノミーへの取り組みを強化しています。
レコテック株式会社
レコテック株式会社の主な取り組みは、PCR(ポストコンシューマーレジン)材料を利用した「POOL」という資源循環プラットフォームの開発と運用です。
このプラットフォームは、廃プラスチックの回収から再生ペレット化までを管理し、CO2排出量の削減に貢献しています。
実際、POOL樹脂はCO2削減に大きな効果があることが示されており、最大77%のCO2削減効果があると報告されています。
レコテックは、プラスチックだけでなく、有機性残さ、鉄、非鉄など様々な資源の循環にも取り組んでおり、その事業拡大を通じて得られた知見を基に、ブロックチェーンやAI技術を活用して、さらなる技術開発を進めています。
これにより、プラスチックのトレーサビリティ確保やカーボンクレジットの発行など、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。
また、レコテックは2024年には関西を含む大都市での全国展開を計画しており、プラ新法の大臣認定を活用して関東圏や九州地区での回収を開始し、資源循環データ基盤の構築にも注力しています。
パナソニック
パナソニックはサーキュラーエコノミー型事業の創出と循環型モノづくりの進化を進めています。
具体的には、「シェアリングサービス」の導入、製品や部品の再生・再利用を通じた「リペア/メンテナンス、リファービッシュ、リマニュファクチュアリング」事業などの開発に取り組んでいます。
また、既存の製造プロセスにおいても、投入資源の削減、循環資源の活用、生産活動のゼロエミッション化、製品リサイクルなどに取り組んでいます。
これらの活動は、エコデザインの考え方を基軸に推進されており、より良い生活と持続可能な地球環境の両立を目指しています。
パナソニックグループでは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」を立ち上げ、2050年までに、現在の世界のCO2総排出量317億トンの約1%にあたる年3億トン以上の削減に貢献することを目標としています。
パナソニックのサーキュラーエコノミーへの取り組みは、顧客ニーズや地球環境問題に対する新しい取り組みとして評価されており、持続可能な社会の構築に貢献しています。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、電池の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に力を入れています。
この取り組みの一環として、同社では電池の革新やバッテリー性能の改善に注力しています。
具体的には、液系リチウムイオン電池のエネルギー密度向上や、様々なバッテリータイプの開発を進めています。
さらに、bZ4Xなどの電気自動車(EV)において、バッテリーの冷間時暖機性能向上や充電時間の短縮、消費電力の抑制など、実用性の向上を図っています。
また、トヨタは使用済みの電動車(HEV、PHEV、BEV、FCEV)バッテリーをリユースする取り組みも行っています。
株式会社JERAと共に大容量スイープ蓄電システムを構築し、使用済みバッテリーの有効活用を推進しています。
さらに、北米ではRedwood Materials社、Cirba Solutions社と協力して、電池のリサイクルにも取り組んでおり、回収した希少金属を電池サプライチェーンに還元し、北米内の資材循環を実現しています。
まとめ(サーキュラーエコノミー導入に関する支援サービスについて)
本記事では、海外企業と日本企業におけるサーキュラーエコノミーの事例について紹介しました。
サーキュラーエコノミーに対する海外企業と日本企業の取り組みは、それぞれ独自の特色を持ちながら、共通の目標である持続可能な資源利用と廃棄物削減を目指しています。
海外企業は政府の方針や市場のニーズに応じた独自の戦略を持ち、日本企業は長期的な視野と深い技術的ノウハウを活かしてサーキュラーエコノミーに取り組んでいることが見受けられます。
どちらも、環境保護と経済的持続可能性を目指すグローバルな動向の一環として、重要な役割を果たしています。
本記事の内容が、自社にサーキュラーエコノミーを導入いただくためのヒントとなりましたら幸いです。
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