グリーンフィンテックとサスティナビリティ(企業価値とESG #12)

本記事はサステナブルメディア cokiの記事から引用しています。

グリーンフィンテックとは、ESGの特に環境(Environment)と金融を結びつける新たな概念のことです。

グリーンフィンテックは、ブロックチェーン・web3などの比較的新しい技術を活用して、環境問題の解決に向けたイノベーションを生み出します。

本稿では、グリーンフィンテックの定義やメリット、事例、戦略、未来展望などをご紹介します。

目次

  1. グリーンフィンテックとは何か?
  2. グリーンフィンテックがもたらす環境的メリット
  3. グリーンフィンテックがもたらす社会的メリット
  4. グリーンフィンテックがもたらすガバナンス的なメリット
  5. グリーンフィンテックの事例
  6. 日本企業がグリーンフィンテックに取り組むべき視点と戦略
  7. グリーンフィンテックの未来展望と課題

グリーンフィンテックとは何か?

グリーンフィンテックとは、金融サービスを革新するフィンテック(ファイナンス×テクノロジー)に「環境への貢献」という要素を加味したものです。

グリーンフィンテックは、環境に良い効果を与える投資や消費行動を促進することで、気候変動や異常気象等の防止に寄与することを目指しています。

グリーンフィンテックは、デジタルネイティブ世代を中心に支持されており、欧米では多くのスタートアップが活発化しています。

グリーンフィンテックがもたらす環境的メリット

グリーンフィンテックがもたらす環境的メリットは、主に以下の3つです。

省エネ化

グリーンフィンテックは、再生可能エネルギーや省エネ技術などを活用して、エネルギー消費量やCO2排出量を削減することができます。

例えば、電気自動車や水素自動車などの低炭素な移動手段や、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーサービスなどがあります。

これらの再生可能エネルギーや省エネ技術と、決済や融資・ローンなどを組み合わせるのがグリーンフィンテックです。

エコロジカル消費

グリーンフィンテックは、カーボンニュートラルな商品やサービスを提供することで、消費者のエコロジカル消費意識を高めることができます。

例えば、循循環型社会やサステナブルファッションなどの取り組みがあります。

「クレジットカードの決済時に、購入する商品やサービス等のCO2排出量を加算し、一定のCO2排出量を超えるとカードの利用を制限する」など、これまでは「いかにクレジットカードの利用を促すか」を重視していたクレジットカードサービスですが、「CO2排出量を意識した消費行動を促す」というエコロジカルな消費活動に貢献していくでしょう。

環境教育

グリーンフィンテックは、環境問題に関する知識や情報を提供することで、消費者や社会全体の環境教育に貢献することができます。

例えば、アプリやウェブサイトなどのデジタルメディアやゲームなどがあります。

ゲーミフィケーションの要素を取り入れ、ゲーム感覚で楽しみながら環境に関する知識を習得することができるようになるでしょう。

グリーンフィンテックがもたらす社会的メリット

グリーンフィンテックがもたらす社会的メリットは、主に以下の3つです。

経済成長

グリーンフィンテックは、新たなビジネスチャンスやイノベーションを生み出すことで、経済成長に寄与することができます。

例えば、「グリーン・ファイナンス」と呼ばれる分野では、「カーボングロード」と呼ばれる8つの分野(農業・食品・水産業・木材・建設・製造業・運運輸・金金融)における環境保護への投資効果を評価し、「トレッド」と呼ばれる投資先企業を紹介するサービスがあります。

人々の健康

グリーンフィンテックは、環境汚染や気候変動による人々の健康への悪影響を軽減することで、人々の健康に寄与することができます。

例えば、空気質や水質の改善、感染症やアレルギーの予防、ストレスや不安の緩和などがあります。

社会的包摂

グリーンフィンテックは、環境問題に関心を持つ人々や団体をつなげることで、社会的包摂に寄与することができます。

例えば、クラウドファンディングやソーシャルメディアなどのプラットフォームを通じて、環境保護活動やプロジェクトに参加したり、支援したりすることができるでしょう。

グリーンフィンテックがもたらすガバナンス的なメリット

グリーンフィンテックがもたらすガバナンス的なメリットは、主に以下の3つです。

透明性

グリーンフィンテックは、ブロックチェーンやAIなどの技術を活用して、環境保護に関するデータや情報を収集・分析・共有することで、透明性を高めることができます。

例えば、カーボンフットプリントやエコラベルなどの指標や認証制度があります。

責任感

グリーンフィンテックは、環境保護に関する目標や基準を設定・評価・報告することで、企業や消費者の責任感を高めることができます。

例えば、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などのフレームワークがあります。

協働性

グリーンフィンテックは、環境保護に関する課題や解決策を議論・協力・協調することで、協働性を高めることができます。

例えば、パリ協定やグリーン・ニューディールなどの国際的な取り組みがあります。

グリーンフィンテックの事例

グリーンフィンテックの事例としては、スイスの「グリーン・フィンテック・アクションプラン」が挙げられます。スイスは、グリーンフィンテックの先進国として知られています。

スイス政府は、2022年にグリーン・フィンテック・アクションプランを発表し、グリーンフィンテックの発展を支援するための具体的な施策を打ち出しました。

このアクションプランには、以下のような内容が含まれています。

  • グリーンフィンテックの定義や分類を明確にする
  • グリーンフィンテックの規制や監督を適切にする
  • グリーンフィンテックの資金調達や税制を優遇する
  • グリーンフィンテックのイノベーションや教育を促進する
  • グリーンフィンテックの国際的な連携や競争力を強化する

このアクションプランは、グリーンフィンテックの発展に向けたモデルケースとして注目されています。

日本企業がグリーンフィンテックに取り組むべき視点と戦略

日本も今後、グリーンフィンテックに関連するスタートアップ企業等が増えていくでしょう。取り組むべき視点と戦略については、以下のような点があります。

環境問題への意識の高揚

日本は、環境問題への意識が低いという課題があります。日本は、環境問題の重要性や緊急性を広く啓発し、グリーンフィンテックへの関心や参加を促すことが必要です。

技術力の活用

日本は、ブロックチェーンやAIなどの技術力において、世界に引けを取っているわけではありません。
スイスのようなグリーンフィンテック先進国になる可能性もあるでしょう。

日本企業は、技術力をグリーンフィンテックに活用し、環境保護に貢献する革新的なサービスやソリューションを開発することが必要です。

国際的な協力

日本は、グリーンフィンテックに関する国際的な協力や交流を積極的に行うことが必要でしょう。

日本は、グリーンフィンテックのベストプラクティスやノウハウを共有し、グリーンフィンテックの標準化や規制の調整を推進することも可能ではないでしょうか。

なぜなら、本連載の「ESGの温故知新」シリーズでお伝えしたように、江戸時代(あるいはそれ以前)から続く経験値を、日本は持っているからです。

グリーンフィンテックの未来展望と課題

グリーンフィンテックは、環境と経済成長の両立を目指す、21世紀の金融革命とも言えるでしょう。

グリーンフィンテックは、今後もさまざまな分野や産業に広がり、環境問題の解決に向けたイノベーションを生み出すことが期待されます。

しかし、グリーンフィンテックには、まだまだ解決すべき課題もあります。例えば、以下のような点が挙げられます。

  • グリーンフィンテックの定義や評価基準の不明確さ
  • グリーンフィンテックの規制や監督の不十分さ
  • グリーンフィンテックの資金調達や市場の未成熟さ
  • グリーンフィンテックの技術的や倫理的なリスク
  • グリーンフィンテックの社会的な受容性や信頼性の低さ

グリーンフィンテックは、環境問題に対する挑戦とチャンスの両面を持っています。

グリーンフィンテックを成功させるためには、政府や企業、金融機関、消費者など、さまざまなステークホルダーが協力し合い、共通の目標やビジョンに向かって取り組むことが必要です。

グリーンフィンテックは、ブロックチェーン・web3などの新しい技術を活用して、環境に関するデータや情報を分散化・トークン化することで、新たな価値やサービスを創出することが可能です。

環境保護に関するESGの評価や報告をより正確・迅速・信頼性にすることで、環境に関する投資や消費の意思決定を支援することができるでしょう。

環境保護に関するサスティナビリティを高めることで、現在だけでなく、未来の世代にも恩恵をもたらすことができるのです。

出典・参考:
脱炭素社会の実現に向け、2022年期待のグリーン・フィンテックとは?|D-nnovation Perspectives|Deloitte Japan
SDGsの時代に注目を集める「グリーン・フィンテック」。データが変える消費行動の「グリーン化」とは? (quest.co.jp)

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