Appleの企業DXが注目を集める理由とは。DX成功事例を解説
(画像=ipopba/stock.adobe.com)

AppleはGAFAと呼ばれるIT巨人の企業の1つです。2007年6月29日、米国内でスマートフォン(iPhone)をリリースした後、瞬く間に世界中でiPhoneが流通販売されるようになり、日本国内においても15年以上が経過した今でも根強い人気を誇っています。iPhoneで有名なAppleですが、自社のDXにも非常に力を入れており、トライ&エラーを繰り返しながらも様々なイノベーションを巻き起こしています。本記事ではGAFAの1つであるAppleに注目し、DXの成功事例を紹介します。

DXが必要になる理由とは

DXとは、デジタル技術を通じて、ビジネスモデルや製品、サービスに変革を与えることを指します。近年、DXが求められている理由としては以下のような理由があげられます。

新しいビジネスモデルの創出

DXを通じてこれまでのビジネスモデルを分析したり、開発環境を強化したりする能力が向上することで新しいビジネスモデルを創出できます。また、DXを通じて導入した最新技術を駆使することで新しいビジネスを生み出すことも可能です。

全社的な組織効率化・業務効率化の実現

これまで人の手で行ってきた作業をRPAやデジタルツールの導入、新システムの開発・業務アプリの開発等により自動化する、業務プロセスを変更することでオペレーションを廃止するなどの方法で業務を効率化します。その結果として、従業員の生産性向上が期待されます。

変化する市場への柔軟な対応

DX推進が進むと、市場の変化に対して柔軟に対応できます。既存システムでは分析できなかった顧客動向などをデータとして蓄積し活用することで、より顧客ニーズにあった商品やサービスを提供可能となります。

特に最先端企業であるGAFAMで強いのは新しいビジネスの創出であり、世界をリードする企業として新しいサービスを作り出しています。

DXで利用できる最新技術

DXを推進するためには様々な最新技術を活用することが重要です。例えば、以下の4つの技術があります。

IoT(アイ・オー・ティー)

IoTはモノをインターネットを通じて外部から状況の確認や操作ができる技術になります。特に近年では製造業のセンサ活用や家電などで利用が進んでいます。

ビッグデータ

ビッグデータとは量、多様性、速度または更新頻度の高さの3つを兼ね揃えた人間が把握することが困難なほどの大規模データのことです。これらを活用することでこれまで見えてこなかった傾向がわかったりします。

クラウド・サービス

クラウドは必要なときにサービスにアクセスし、必要な分だけ利用することが可能なツールです。容量やメモリなどの拡張性の高さからDXには欠かせない存在となっています。

AI(人工知能)

自ら学習することで膨大なデータから傾向を見つけ出したりすることができます。ビッグデータと親和性が高く、市場から集めたビッグデータをAIを利用して解析を行うなどの方法があります。

DXではこれらの技術を複合的に組み合わせることによって、これまでにないビジネスプロセスの変革や顧客への価値の提供を行っています。

GeNEE_Appleが提供するITサービス

Appleが展開するDX2選

Appleはこれまで様々なDXを行ってきました。FaceIDや指紋認証などはその一例です。ここではそれ以外に影響を与えた代表的なDX改革を2つを紹介します。

Apple Card(アップル・カード)

Apple Cardは日本では現在まだ普及していませんが、アメリカで普及しているクレジットカードサービスです。近年、増えてきているナンバーレスのカードの先駆けとも言え、高度なセキュリティを保っています。特徴的な点としてはiPhoneと連動させることにより様々なサービスを利用できることです。例えば以下のような機能が利用できます。

バーチャルカードの利用が可能

iPhoneと連携してバーチャルカードとして利用できます。利用時には生体認証が必要であるため、高度なセキュリティとなっています。

不正利用を検知し、リアルタイムで通報

使用した金額などの情報は使った瞬間にiPhoneに届きます。不正利用をされた場合にはそのまま通報することで迅速に報告できます。

利用データの詳細な分析が可能

Appleが提供するWalletアプリと連動して過去の購買実績を分析できます。このようなサービスにより、これまで消費者が分析に時間が掛かっていた作業をスムーズに行えるという改革に成功しています。

Apple Pay(アップル・ペイ)

Apple Payはいわずと知れたキャッシュレス決済の先駆けとなるサービスです。電子媒体を活用したキャッシュレスサービスは決済の管理をキャリア側に委託しなければならず、多くのクレジットカード会社は当時難色を示していました。また、セキュリティ上の問題も数多く存在しました。Apple Payはこれらの問題を解決する形で管理システムを作り上げた革新的なサービスでした。Apple Payの主な特徴は以下の通りです。

キャッシュレス決済の先駆けとなったPayサービス

当時はまだキャッシュレス決済というサービスはなく最新のサービスでした。

カードを自由に選択できる

Apple Payは支払うクレジットカードを自由に選択できるようにしました。このシステムもApple Payが先駆けです。

スリープ状態からTouch ID決済が可能

Touch IDを導入したことにより、生体情報を活用した強固なセキュリティを実現しました。

海外のDX推進事例から学ぶ成功のポイント

ここでは海外のDX推進から学べる成功のポイントを3つ紹介します。

顧客視点の原点に立ち返ること

今回紹介したAppleやGAFAMのもう一つの企業Amazonでも顧客視点を強く持っています。例えば、AmazonではAmazon Echoというサービスを活用して、これまで手作業が必要であった注文作業がタイマーセット作業、検索作業を口頭で行えるようになりました。これによりユーザは他のことをしながら、それらの作業ができるという画期的な仕組みを作り出しました。このようにAppleやAmazonはいかに顧客に新しい価値を提供できるかという視点を大切にしております。この方針を明確にすることで、常に顧客にとって画期的なサービスを届けられる最先端企業であるという立場を明確にすることができます。

内製・外注の適切な判断

DXを進めていくにあたり、重要な要素の一つが内製・外注の判断です。こちらは企業が属する業界・業種だけでなく、事業内容や社風・文化、従業員の属性等も大きく影響する話です。一例をあげますと、建設や土地開発といった重厚長大系の企業の場合、社内にDX人財を抱えていることは少ないでしょう。そのような実情がある中、「DXを推進するために、システムやスマホアプリを内製しよう。」と動き出してしまうと、失敗は目に見えています。「餅は餅屋」という言葉があるように、DXを実現するためには、ITに強い会社、開発に強い会社とタッグを組み、双方が得意分野で力を合わせ、進めていく必要があります。一方、Webマーケティング会社やD2Cサービス会社の場合、ITリテラシーが高い従業員が多い傾向にあります。その場合、一部の開発業務は外注し、一部は内製、といった判断も妥当かもしれません。ITの巨人、GAFAMは、ほとんどのサービスを内製化しており、その結果、いかなるときにも機敏性、柔軟性を持ち合わせています。日本企業においても改めて内製化や外注の判断を適切に行うことでDXプロジェクトの成功に近づけるはずです。

経営者主導型アプローチ

DXは一部署、一部門が行うものではありません。今後の企業の戦略立案にも関わるので、すべての部門が自社DXプロジェクトの現状の動きを認知すべきだと考えます。そのためには企業のトップである経営者が全従業員を主導し、適宜必要な情報を周知する必要があります。Amazon創業者のジェフ・ベゾスやAppleのスティーブ・ジョブズ、Facebookのマーク・ザッカーバーグなどは自らの思いやビジョンを描写し、実現する力を持ち合わせていました。日本企業においても自社を活性化させるため、経営者自らがDXを進めていく強い意志と気概を持つことが何よりも大切です。

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日本の中小企業が模倣すべきポイント

日本の中小企業が模倣すべきポイントは、以下のような観点であると思います。

自社顧客の視点を今以上に分析・調査し、大切にする

AppleもAmazonも顧客視点を大切にしている企業です。この方向性は見習うべきでしょう。既存の製品・サービスを売るだけでなく、新しい有用なサービスを提供して見返りをもらうという視点を大切にしましょう。

経営者が積極的にDX・ITに関する知見を深める

やはりDXに成功している企業はITへの造詣が深いです。まずは経営者自身がIT戦略に関する知識を深め、ITで何ができるのかを明確にしていくべきでしょう。

DX人財を自社で育てる覚悟を持つ

先ほど内製化を行っているとお伝えしましたが、中小企業においてITの内製化まで行うのは非常に大変なことです。しかし、必要なIT教育は施し、可能な限り柔軟な対応ができる体制を整えましょう。

まとめ

ここまでAppleのDXの事例や成功のポイント、日本の中小企業が模倣すべきポイントを紹介しました。DXは専門の知識が必要であり、ハードルが高いのが現状です。中小企業においてはいきなりDXを推進する体制を作り出せる企業はそう多くはないでしょう。そのため、まずはITの基盤を整え、対応できるところから試していくといった方法でIT化を推進すると良いでしょう。

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