課題・要望
- 業務の進め方が事業部ごとにバラバラで情報が属人化しているため非効率的だった
- 部門ごとに取り扱い情報が違うため経営層が全体の数値を把握することができず、各営業が地道に資料を作成していた
- 20年ぶりの大々的なシステム導入に対して不安の声が多く、なかなか社内で理解が得られなかった
SFA活用により「営業案件数1.5倍」「受注登録や製作指図発行業務85%工数削減」を達成!
解決策・効果
- SFAを全社導入することで他事業部との連携が容易になり、案件獲得数が増えただけでなく、工数の削減にも成功した
- 全社ダッシュボードを作成してグループごとの受注状況、営業案件ごとのステータスを見える化し、的確な経営判断を実施することにより受注確度が向上した
- スピーディにSalesforceで環境構築し対応していくことで、何ができるのかを見せることができ、話を進めることができた
インタビュー
東レエンジニアリング株式会社では大型プラント建設から液晶・半導体製造・検査装置、さらに電池製造設備まで、“エンジニアリングとものづくり”をあわせ持つ技術力で、高度化・多様化するお客様のニーズに最適なソリューションを提供しています。 エンジニアリング事業でもエレクトロニクス事業でも幅広い分野・業界にサービスを提供し世界からも高い評価を得ている同社が抱えている課題や、パートナー企業に期待すること、さらには今後の展望まで代表取締役社長の岩出卓さん、経営企画室主幹の本近修和さん、経営企画室主任部員の本田顕真さんの3名にお話を伺いました。
―東レエンジニアリングさんのビジネスについてお聞かせください。
岩出社長:東レエンジニアリングは東レグループのプラント、機械設備を設計製作する会社として今年60周年を迎えます。Solution by technology engineering and knowhow を旗印として「新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を企業理念として進めています。 当社はエンジニアリング事業とものづくり事業を手掛けています。エンジニアリング事業では東レのケミカル技術を出発点とし、医薬、ファインケミカルへと展開しています。ものづくり事業は、メカトロファインテック事業部を中心にフラットパネルディスプレイ、半導体、フィルムの製造、さらにFA機器へと事業の裾野を広げています。事業拠点は国内6箇所、関係会社は国内9社、海外3社を有しています。
―その中での課題と、それに対する東レエンジニアリングさんの取り組みについてお聞かせください。
本近様:業務の進め方が事業部ごとにバラバラで情報が属人化している、部品の共通化・標準化が進まないので生産性向上への取り組みが不足しているという課題がありました。 あるべき姿を追求して業務の効率化を目指し、2018年からTOP-2020 (TEK Optimizing Production process for 2020)をスタートさせたのですが、その中でSFAを核に3D-CAD、PDM(製品データ管理設計システム)、PLM(製品ライフサイクル管理システム)を一括で導入しました。
―Salesforce全社導入のパートナーとしてCCTを選んだ経緯と決め手を教えてください。
本近様:実はCCTさんとコンタクトをとったのはSalesforceの導入を決めた後だったのですが、選んだ経緯としては多数のSalesforceの構築実績があること、またパートナー企業であることをセールスフォース・ジャパン社から聞いたからです。初めは小口の海外案件をお願いしたのですが、その仕事のやり方が非常に真摯で、また言われたことをただやるのではなく当社に最適な方法を提案してくれたので、次の大型プロジェクトでも本格的にCCTさんを採用しました。
―Salesforce導入に際して行ったシステム開発の概要と、それにより可能となったことや解消できた課題について教えてください。
本近様:まずは、Salesforceの講演会でも報告したのですが、プラント営業部でSFAを活用して勝ちパターン営業を落とし込み、それを活用すると共に、開発部門をはじめ他事業部、関係会社とも連携してコロナによる経済活動自粛下においても案件を1.5倍 に増やしたことです。 次に、全社ダッシュボードを作成してグループごとの受注状況、営業案件ごとのステータスを見える化し、的確な経営判断を実施することにより、結果として受注確度が向上したことです。 最後に既存のレガシーシステム にそれぞれ個別入力を行っていたものをSFAに統一したことで、受注登録や製作指図の発行業務において最大85%の工数を削減し、スピードアップを図りました。
本田様:これまでみんなシステムに不満はあったものの、個別最適化だけで全体的な効率化までは行きつかず中途半端だったのですが、今回のPJでは全社通して一気通貫した業務効率化、単体の事業部ではできなかったSFAとERP連携まで踏み込んで改善することができました。
―実際に全社導入を決断するのはなかなか難しいと思うのですがどのような意思決定が行われたのでしょうか?
本近様:もともと3D-CADを普及させるプロジェクトをやっていたのですが、調査していく中で、3D-CADだけでは会社の業務は効率化できないということがわかりました。なぜなら、途中でものを作るために2Dに落としたりする必要があったり、20年以上前のシステムでは対応できないことがわかったからです。そこで、やはり設計から生産、調達、購買まで一貫しているシステムを入れないと効果が出ないと思いました。Salesforceを入れることで更に営業も組み込まれるので、そこまで含めてシステムの構築をやっていこうということに決まりました。それが2018年のことです。 ぽろりと話したことが当時開発部門長だった岩出さんから社長までいき、すぐに実行しよういう話になり、それがSFA導入のきっかけとなりました。
―Salesforceの最も使いやすい点はどこでしょうか?
本近様:自社開発のシステムは要求仕様を書いて、フローチャートを書いて、コーディングしてテストして、というのが手間だったのですが、Salesforceだとブロックのように必要な機能を組み合わせてとりあえず使ってみることができます。うまくいかなければ、ばらして新たに再構築することができ、非常に柔軟性が高いです。自社システムは一度作ると改修に時間とお金がかかったのですが、Salesforceはレベルの変化に対応していけるのが利点ですね。
―進める上で大変だったことは何でしょうか?
本近様:一番難しかったのは20年ぶりに大々的にシステムを導入するとなった時に、SFAとかPDM、PLM等がどのようなものかみんなわからなかったので、どのようなものでどのような効果があるのかを説明し、導入してもらおうという気持ちにしていく(布教活動)ことが大変でした。
それをくじけずできたのはトップの岩出さんの強い意志があったからです。それに背中を押されて進めることができました。
本田様:周りの理解を得るのに時間がかかったことです。初めは反対派も多く、先が見えない、入れたらどうなるか不安と思われていたのですが、スピーディにSalesforceで環境構築し迅速に対応していくことで、何ができるのかが見え、話が進み、ユーザとファンが増えていきました。堅苦しく仕様書を出すのではなく、CCTさんにコンセプトアウト型の提案をしてもらい、一緒に課題を見つけてクリアしていきましょうというスタンスで進めていったのがよかったです。PDCAをまわしているだけだと4~5年かかるところを、OODAをまわすことで構築、改善、実装、ユーザの利用を繰り返し、短期間で求める機能を実装してもらいました。
また、社内ではIDを配布して終わりではなく、事務局と各事業部が一緒になり、単純なシステムの置き換えではなくDXを意識して活動することで利用推進をしています。
―今後の東レエンジニアリングさんの展望と、CCTに期待することやご要望があればお聞かせください。
本近様:先ほど話したように当社では全社員にIDを付与し、事業部では営業情報の共有を目指しているのですが、間接部門に関してはSalesforce活用の実例がなく、アイデア勝負なところがあるので事例をどんどん紹介してほしいです。
また、SFAは導入すればそれで終わりではなく、継続的な定着・維持・改善が必要となるので、CCTさんとは親密な関係を維持していきたいです。
本田様:Salesforceの狙うところである、全ての情報を入れていくことでDBに情報がたまり、それを使って分析して我々が進むべき道を模索していく、というデータドリブンな取り組みを進めていきたいです。
あと、Salesforce Einstein Analytics(現:Tableau CRM)も気になっていますね。人間が考えようとすると従来の業務の延長での考え方が入りますが、AIを使うと全く異なるアングルから俯瞰できるので、そういった観点で業務効率化を進めていけるではないかと期待しています。
本近様:レガシーシステムを使い続けてきたこともあり、当社はテクノロジーでは周りより20年近く遅れをとっていると思うので、まずは先頭集団まで追い付きたいと考えています。3D-CAD、PDM、PLM、SFA一括導入は日本ではなかなかなく、それ自体は新しい取り組みではあるものの、やっていることとしてはみんなで一生懸命アイデアを出しながら頑張っている状態なので、活用するためのアイデアをいただければ即採用していきたいです。CCTさんには次のステップを含めた提案も期待しています。