本記事はサステナブルメディア cokiの記事から引用しています。
サステナブルに関する評価を行う組織は600社以上あるとされています。そのため、自社の評価を実施してもらおうにも、「評価機関ごとにどのような違いがあるのか」などの悩みを持つ方も多いでしょう。
そこで、本記事では、下記2つについて解説します。
・企業のサステナブル活動を評価する代表的な機関
・サステナブル活動を評価されるメリット
各評価機関を比較し、どの組織に評価してもらうのが良いのか考える参考になれば幸いです。
サステナブル活動の評価機関は600社以上
サステナブル活動を評価する基準はいくつかありますが、その1つに「ESGスコア」と呼ばれるものがあります。
https://coki.jp/sustainable/esg/35444/
ESGスコアを算出する評価機関だけでも世界中に600社を超える組織があり、サステナブル活動を評価する機関全体の数は無数にあると言えるでしょう。
サステナブル活動を評価する代表的な機関10選
サステナブル活動の評価機関は、それぞれ参考にするデータの量や評価基準、スコアを導き出す手法などで異なるため、複数社からの質問表に答え評価を受けることが重要です。
こちらでは、代表的な評価機関を10社紹介します。自社のサステナブル活動を正確に評価してもらうためにも、それぞれ比較しておきましょう。
1.CDP
CDPは、2000年にロンドンで設立された非営利団体です。
気候変動、水セキュリティ(水に関するリスクへの対応)、フォレスト(木材、紙パルプなどといった森林減少の原因となる商品)の分野における、企業や自治体のグローバルな情報開示基盤を提供しており、投資家や企業、各国政府に活用されています。
CDPスコアによる企業への評価はA〜Dマイナスの8段階(無回答企業はFとなる)で評価されます。
CDPスコア以外にも、「サプライヤーエンゲージメント評価(サプライヤーとの協働を評価するスコア)」や「気温上昇スコア(GHG排出削減目標を基に導かれる評価)」といったものも発表しています。
2.ISS ESG
2023年1月時点で7,800社の格付けを行っている「ISS-ESG」。1985年に設立されたISS(Institutional Shareholder Services Inc.)の責任投資(ESG関連の課題を考慮して投資を行うこと)部門です。
評価はAプラス〜Dマイナスの12段階で行われるほか、気候変動・SDGs関連への影響・人権・労働基準・汚職・問題視されている兵器など、サステナブル投資に関するあらゆる問題に対する専門知識の提供も行っています。
全ての格付けを1年ごとに見直すことはもちろん、3年ごとに評価対象からフィードバックを求めるようにしています。
3.MSCI
MSCIは、世界中にある数千社のESGに関連する業務について、詳細な調査、格付け、分析を提供している企業です。
企業の財務関連のESGリスクと機会の管理を測定することを目的に格付けしており、評価はリーダー (AAA、AA)、平均 (A、BBB、BB) からラガード (B、CCC) までとなっています。
評価に関する情報は理由などを合わせて詳細に解説されるため、ステークホルダーだけでなく企業側にとっても強みや弱みを理解するうえで役立ちます。
株式・債券、ローン、投資信託、ETF、国も評価しており、8,500社以上を評価してきました。
4.EcoVadis
2007年にフランス・パリで設立された「EcoVadis」。180以上の国で利用され、130,000社以上を評価した評価機関です。
評価手法は、「7つの基本原則」と「4つのテーマ・21の指標」に基づいており、業種・企業規模・組織体系などに合わせた評価を実施しています。
評価チームは80ヶ国で活躍する1700名以上の専門家で構成されており、評価が特定の条件を達成していれば、独自のメダルが付与されます。
5.Bloomberg
1981年、アメリカ・ニューヨークで設立した「Bloomberg」。
「情報を通じて世界の資本市場の透明性を高める」というポリシーをもち、世界中の金融・ビジネス・政治界の人々に、さまざまな判断材料を提供しています。
ESGにおいても、公正で品質の高いデータ・分析ツール・ニュース・リサーチの提供に尽力しており、6つのスコア評価方法で1万社以上を評価してきました。
中でも「ESG開示スコア」では、公開されている企業のESG情報から独自の基準で算出されています。
500名の分析官を抱えるチームを持ち、包括的なデータの解析を行っています。
6.Sustainalytics
2009年に設立された「Sustainalytics」は、2020年に買収され、MORNINGSTARグループの一員となりました。
25年以上にわたり、世界中の投資家による責任投資戦略の開発と実践のサポート、ESG調査・レーティング・データの提供などを行っています。
40を超える業種においてさまざまな分野の専門知識を持つ800名以上のアナリストを有しており、20,000社以上を対象に評価してきました。
日本を含む世界16カ所に拠点をもち、数百社の世界で名高い資産運用会社や年金基金と提携している点も大きな特徴です。
7.FTSE Rusell
1995年に設立された「FTSE Rusell」は、ロンドン証券取引所グループの傘下で、Data and Analytics部門の所属です。
ESGスコアの算出など、サステナビリティ投資の分野における機関投資家への情報提供など、20年以上の実績を持っています。
14のESGテーマを設定し、環境で5つ(気候変動・生物多様性・水の安全保障など)、社会で5つ(労働基準・健康と安全・顧客への責任など)、ガバナンスで4つ(コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、税の透明性など)と詳細に分けられます。
個別調査項目は300 以上あり、SDGsの17の目標全ての結果が反映されているほか、最も重要なマテリアリティに重点を置いてスコアが出されます。
8.Arabesque
2013年に創業した「Arabesque」。
資産運用事業を中核にサステナビリティ金融事業を推進し、2018年にESGリサーチの社内ツールであったS-Ray®を独立したESG評価事業としてアラベスクS-Rayをスタートしました。
ESG、国連グローバル・コンパクト、地球温暖化への寄与、事業活動という4つの側面からサステナブル活動を評価しています。
2019年には資産運用事業にAIを取り入れたAIエンジン「アラベスクAI」を開発し、2021年にはAIによる運用支援プラットフォーム「AutoCIO」を開設しました。
アラベスクS-RayはESGの情報開示プラットフォーム「ESGブック」も作成しており、5,000社以上の企業と比較できるなど、サステナブル活動に役立てられます。
9.S&Pグローバル
ESG評価の分野で先駆者的立ち位置だったRobecoSAMのESG調査部門(SAM)を2020年に買収した「S&Pグローバル」。
格付けを行うS&P グローバル・レーティング、データおよび分析ツールを提供するS&P グローバル・マーケット・インテリジェンスなどを傘下に持った、世界有数の金融サービス企業です。
評価は「CSA(企業持続可能性評価)」と呼ばれるもので、80以上の質問事項により0〜100までの数値で表されます。
20年以上の歴史を持っており、グローバル市場の95%を占める7,000社以上の評価を行ってきました。
10.日経NEEDS
「日経NEEDS」は、1970年に日本経済新聞社が運営を開始した、企業・証券データ、マクロ・金融統計、地域情報などを収録した総合経済データベースサービスです。
専門家が知見を活かし加工・分析・蓄積された信頼性の高いデータを、国内外の金融機関や大学教育機関に向けて提供しています。
2021年12月から、上場企業の約100項目に及ぶ数値・テキストデータなどにアクセス可能な「日経ESGデータ」の提供も開始。3タイプのデータ取得方法が用意されており、活用する場面に合わせて選べます。
企業のサステナブル活動を評価してもらうメリット
ESGスコアをはじめとする、サステナブル活動の評価機関に審査してもらうことの良さが感じられず躊躇される方もいるかもしれません。
確かに、時代の流れに合わせた準備・対策を行わなければ、「目立った評価を得られない」「ステークホルダーが離れてしまう」といった悪い影響を及ぼす可能性もあります。
しかし、評価期間を通して自社のサステナブル活動をうまくアピールできれば、以下のようなメリットも存在しています。
- 社会的信頼性が増す
- 長期投資家からの資金提供が期待できる
- 自社の持続可能性を高められる
企業サステナブル活動に関するサポートについて
自社をより成長させていくためには、サステナブルな活動の実施が必須となってきました。
必要性を感じて活動し始めているものの、「明確な効果が見込めていないけれど、この方向で問題ないだろうか」「効果的なサステナビリティへの対策って結局何?」といった不安を抱えながら進めている方もいるでしょう。
株式会社SACCOでは、企業のサステナビリティ対応をフルサポートしています。
- サステナビリティ推進室の立上
- 統合報告書・サステナビリティレポートの制作
- WEBサイト・サイト内コンテンツの制作
上記のようなサポートで、企業のサステナビリティが円滑に進むための支援を実施しています。
サステナブル活動について何かご不明な点があれば、いつでも相談いただけます。
まとめ
本記事では、企業のサステナブル活動を評価する機関と評価を受けるメリットを紹介しました。
ステークホルダーのサステナビリティへの関心の高まりから、統合報告書・サステナビリティレポートなどの作成、サステナビリティサイトの運営といった、サステナブル活動は重要です。
同時に、企業のサステナブルな活動を評価する評価機関に、どのような活動をすれば高く評価されるのかも重視しなければいけません。
評価機関を利用してサステナブル活動の移り変わりを掴み、時代の流れに合った対策を実施しましょう。
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